リニア「大阪開業8年前倒し」は本当に必要か

自己負担での計画を国が支援するのはアリ?

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先代のリニア実験車両MLX01(撮影:尾形文繋)

一方、JR東海は、その国家プロジェクトともいうべき中央新幹線の建設主体と営業主体になぜ名乗りを挙げ、指名を受けたのだろうか。

これについてはJR東海のHPに掲げられた中央新幹線の建設の目的や趣旨が参考になる。

当社は、自らの使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため、超電導リニアによる中央新幹線計画を全国新幹線鉄道整備法(以下、「全幹法」という。)に基づき、進めています。
現在、この大動脈輸送を担う東海道新幹線は、開業から50年以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければなりません。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提に、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。
(中略)その上で、まずは東京都・名古屋市間を実現し、さらに、経営体力を回復させたうえで、速やかに大阪市まで実現することとしています。

 

計画への介入は回避したい?

JR東海からすれば、中央新幹線は自己の経営基盤の確立を図るためのプロジェクトでもある。東海道新幹線がJR東海の収益の柱になっていることを考えると、そのバイパスである中央新幹線の事業の成否は自身の存亡と将来の発展にかかわる極めて重大なものである。不要な介入を受けず、自身の中長期的な計画の下、資金を含めて慎重かつ入念に計画を立てるべき存在といえる。

そのJR東海にとって、全幹法に基づく第三者の行為制限(第10条、11条、12条)など中央新幹線建設への環境整備の点で国や地方公共団体その他の支援を受けるのであればともかく、計画そのものに他者が積極的に介入をするということは回避したいところであろう。たとえば、東京と大阪の速達性を図ることに優先順位を置いているのに、計画線を北に動かして京都へも寄れ、ということがあれば受け入れがたいところであろう。

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