リニア「大阪開業8年前倒し」は本当に必要か 自己負担での計画を国が支援するのはアリ?

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山梨リニア実験線を走るL0系車両。リニア中央新幹線の品川~名古屋間は2027年の開業を予定している(撮影:尾形文繋)

今から11年後の2027(平成39)年、中央新幹線の品川・名古屋間が開業する。異次元の超電導磁気浮上式鉄道(いわゆるリニアモーターカー)による新幹線であり、どのようなものになるか期待が膨らむところである。将来的にはさらに大阪まで開業する予定となっているが、こちらは29年後の2045(平成57)年が開業予定とされており、はるか彼方の未来ということになる。

ところが、中央新幹線の建設・営業主体であるJR東海に対し、国が財政投融資を実施し、大阪までの開業時期を8年ほど前倒しさせる方針を示したという報道があった。一部ではこの方針についてJR東海でも歓迎をする意見があるとも聞く。

JR東海は全額自己負担で中央新幹線全線を建設する意向を示し、第一段階として品川から名古屋まで開業をし、その後体力を回復させて大阪まで開業するという計画を立てていた。これに対して国がJR東海を支援して大阪開業を前倒しさせるということのようである。

早期の大阪開業実現には有効

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財政投融資とは、「税負担に拠ることなく、国債の一種である財投債の発行などにより調達した資金を財源として、政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動」と説明されている(財務省HP)。

その活動分野の一つとして、社会資本の整備も対象となっている。中央新幹線もその役割や大阪開業までにかかる建設費が9兆円と見込まれていることを考えると、対象としては相応しい。2011(平成23)年5月12日の交通政策審議会中央新幹線小委員会答申においても「大阪までの早期開業方策を継続的に検討すべき」という答申がなされており、大阪開業の前倒し実現のために税負担によらない財政投融資を活用するというのは一つの選択肢である。

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