「青春18きっぷ」ポスター制作の壮絶舞台裏

野犬にも追い掛けられ、ロケ地探しに一苦労

2008年夏ポスターの舞台となった室蘭本線・有珠〜長和間。当初の入稿カットでは、水田に水が張られていなかった(撮影:真島満秀)

JRの普通列車に乗り放題となる「青春18きっぷ」の季節が今年もやってきた。1日あたり2370円という安さもさることながら、乗り降り自由という気軽さも人気の理由だ。

春、夏、冬の年3回、青春18きっぷの季節になると、旅情感たっぷりのポスターがJR各駅に掲示される。自由気ままな旅が青春18きっぷの醍醐味だが、ポスターを見て「青春18きっぷと同じ風景に出会いたい」と考える人も多いだろう。

初期の写真は“アラーキー”

このポスター制作を担当するのが電通アートディレクターの込山富秀さんだ。1990年から担当し、今年で26年目となる。6月には「東京写真月間2016特別展」として、都内の会場に26年分のポスターがずらりと展示された。会場となったキヤノンオープンギャラリー(東京・品川区)には13日間の会期中に5557人も来場し、ギャラリー以来の最高記録を達成したという。特別展は、この後1年かけて全国を巡回する。

ポスターの撮影には人には言えない苦労もある。そんな撮影秘話を明かしたトークショーが6月18日に開催された。登壇者は込山氏と鉄道写真家の猪井貴志氏、長根広和氏の3人。猪井氏と長根氏は1997年から青春18きっぷの撮影に参加している。駅を行き交う人が思わず立ち止まって見入ってしまうポスターはどのように撮影されたのか。

込山さんが青春18きっぷのポスターを初めて担当したころのデザインは現在のものとはまったく違う。写真家の荒木経惟氏を起用して、女性をメインに据えた時期もあった。「旅情は顔に現れるんだよと荒木さんはおっしゃってましたね」と、込山さんは振り返る。“天才アラーキー”との共同作業はなかなか大変だったようだ。「荒木さんは出会い頭で撮る人。ぶらぶら歩いて、気に入った場所でシャッターを押していましたが、実はその裏で僕らが綿密に計画していたんです。荒木さんがシャッターを押してくれそうな場所を事前に必死で探しました」。

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