武蔵が沈んだ「レイテ沖海戦」に何を学ぶか 「現代に通じる教訓」が3つあります

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Q5. 日本軍は「おとり作戦」をとったんですよね?

その通りです。連合軍の大艦隊をレイテから遠ざけるため、日本軍はあえて「おとり」の艦隊を用いて敵をおびき寄せる「陽動」を行いました。

北方からは小沢艦隊、南方からは西村艦隊、さらに第2遊撃隊として志摩艦隊がそれぞれ「おとり」となって湾内の防御を一時的に手薄にし、主力の第1遊撃栗田艦隊の突入を試みたのです。

もし「栗田の反転」がなければ、どうなっていた?

Q6. ただ、その作戦は成功しなかった、と。

その通りです。たしかに、陽動作戦は成功し、敵の主力艦隊は「おとり」の艦隊の攻撃に向かいました。

ところが、日本の主力艦隊を指揮する栗田司令官は、敵の主力が留守になったレイテ湾を目前にして、情報、通信の錯綜から突如「謎の反転」命令を下し、作戦の遂行を中途で打ち切ってしまったのです。

その結果、最終的には日本海軍は壊滅的な被害を受けて敗走しました。

Q7. もし反転していなければ、どうなっていたと思いますか?

栗田司令官の率いる主力艦隊は、そのままレイテ湾に突入し、敵上陸部隊の船団を攻撃、連合国軍のレイテ島侵攻に打撃をあたえる目的を達成できたかもしれません。

ただ、敵の主力艦隊は陽動されて留守だったとはいえ、湾内にはまだ十分な戦力を有した別の艦隊がいました。また、日本軍の作戦に気づいて戻ってくる主力艦隊に退路を阻まれ、無事に帰還することはまず無理だったでしょう。

大局的に見れば、作戦の成否にかかわらず、日本の敗戦はすでに決定的だったと思います。

Q8. なるほど。では「レイテ沖海戦の教訓」は何でしょうか?

いろいろあると思いますが、重要な教訓はおもに「次の3つ」だと考えています。

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