老舗企業だらけの日本の未来は、ヤバすぎる 経済活性化には新興企業が不可欠だ

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ガゼルの真の寄与は、資本と雇用の移行を低生産性の職から高生産性の職へと促す点にある。アマゾンは自らがハイテク製品を作っているわけではないが(電子書籍端末のキンドル以外)、書籍のネット販売から始まった同社は今では、電化製品や衣料品など35部門で2億点に上る商品を販売するようになった。今やアマゾンの従業員1人あたりの収益は、49万1000ドルと、同業のバーンズ・アンド・ノーブル(同15万5000ドル)やシアーズ(同14万ドル)を大きく上回る。

雇用の面で見ても、ガゼルの存在は大きい。たとえば、米国でアマゾンと同時期に誕生したガゼルの大多数は無名で小規模(1993年時点では平均的なガゼル企業の従業員数は61人)だが、その総数は約35万社で、雇用数は2000万人に上る。

ただし、本物のガゼル同様、企業におけるガゼルもまた稀少だ。ベンチャー企業大国の米国では毎年50万以上の新規企業が誕生するが、そのうち5~10%程度しかガゼルになる可能性はない。カウフマン財団の研究・政策部門のロバート・ライタン副社長によると、ほとんどはネズミのままか、失敗に終わる。

米国では新規企業のうち、5年以上存続できるのは半分、10年以上生き延びられるのは3分の1程度に過ぎない。一方、生き残った企業は繁栄し、既存企業に変化を促す競争という圧力を生み出す。つまり、国がすべきことは、まずはガゼルに育つ可能性のある新興企業を数多く生み出す策を打ち出すことである。

ガゼルが果たす役割の一つは、ある市場において劣った古い企業と、優れた新しい企業の入れ替えを促すことであるが、市場における生産性の向上は以下の3パターンで実現する。

1)既存企業が自らの効率性を向上させる。
2)生産性の高い既存企業が、生産性の低い企業にとって変わる。
3)生産性の高い企業が新たに参入し、生産性の低い企業の撤退を促す。

日本経済低迷の主たる原因のひとつは

OECDでは上記の傾向について、日本を除いた10の工業国で調査。平均で全要素生産性(資本と労働の増加によらない生産の増加、TPF)の成長のうち、40%は新しい優れた企業が古く衰えた企業に入れ替わったことによって、また13%は効率的な既存企業が非効率な既存企業のシェアを奪ったことによって生み出されていることがわかった。

一方、日本では製造業におけるTFPの成長のわずか10%しか、新規企業の参入と既存企業の市場撤退に起因していない。これが日本における過去四半世紀にわたる経済低迷の主たる原因の一つだろう。

新興企業の存在が経済の活性化に欠かせないもう一つの理由は、新興企業のほうが新たな技術を取り入れ、活用するにあたって既存企業ほどコストがかからないことだ。既存企業の場合、新たな技術を活用するのに工場設備の刷新や増強、業務慣習の変更などが必要になることが多く、これはしばしば大きな費用負担を伴う。

それ以前に自社がコストをかけて整備した設備が陳腐化することを恐れ、新しい技術に投資することに、消極的になる例も少なくない。ソニーがテレビ事業の切り離しに及び腰なのがいい例だろう。

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