電子書籍は「オカンが使えるIT」へ 繰り返された「電子書籍元年」

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電子書籍は「オカンが使うIT」に

長かった。本当に長かったが、今振り返ると2012年は、本物の元年だったように思う。

2012年、Kindleの上陸に先立ち、出版社が書籍の電子化に本腰を入れ、楽天はカナダの電子書籍端末メーカーKoboを買収。電子書籍端末に参入した。

KindleやKoboの端末は、200~300グラムと軽く、ローエンドモデルなら価格は1万円を大きく割り込む。電子書籍ストアにラインナップされている書籍の数も、10万冊に迫っている。やっと、やっとこさ、端末とコンテンツがそろい始め、出版社のお尻にも火がついてきたのが2012年だった。

だが油断してはいけない。「電子書籍元年」は、オオカミ少年なのだ。どんなに端末やコンテンツがそろっても、「元年」と言い切るのは危ない――そう思っていた筆者だが、母親、オカンがKindleを使いこなしている姿を見て、やっと元年は終わったと実感できた。

オカンは、PCやケータイメールは必要に迫られて使えるようになったものの、ネットやガジェットは苦手で、スマートフォンも持っていないし、TwitterやFacebookも一切触らない。そんな彼女が、操作法を会得し、「買いすぎた」というほどに本を買えるKindleは、おそらく、書店に行くより簡単で、紙の本をめくるより手軽に使えるツールだったのだろう。

「電子書籍AiR」も先日、Kindle版が出たので、母のKindleにもダウンロードしておいたところ、さっそく読んでくれた母からメールが届いた。

「あなたのコラムで爆笑しました。今から、北川悦吏子さんのを読みます」

普段は、IT系の記事ばかり書いている筆者だが、AiRには珍しく、専門用語を使わない、軽いコラムを書いていた。家族にも読んでほしかったが、2010年当時は、手段がなかった。

2010年の「電子書籍元年」に書いたコラムを、3年後の今年、やっと母に渡すことができた。今年こそは、筆者にとっての本当の、「電子書籍元年」になりそうだ。

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