日銀が次に採用する金融政策とは? 国際協調を迫られる「アベノミクス」

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具体的な日銀の金融緩和手段の選択は、今後の課題である。しかし、円安が加速したことにより、金融政策と為替の関連性がこれまで以上に表舞台で議論されるようになり、日銀としても、政策手段の選択について、対外的な配慮も重要になってくるだろう。

その際、日銀にとっての政策選択の一つの基準としては、米国が既に行っている政策かどうかということがあるのではないか。対外調整の観点からは、米国の支持があるかどうかは大きなポイントである。

FRBが従来から行ってきている政策で、実際に日銀が採り得る政策は長期債の購入量の拡大である。これまでも日銀は輪番オペ(日銀券ルールに基づく従来からの国債買い入れオペ)で、30年までの国債を購入しているが、輪番オペの増額も含めて長期債の購入を4月以降増大させてゆく以外に、現在の国際的に複雑化し始めた状況においては、有力な選択肢はないだろう。

日銀の長期債購入で、長期金利はまだ低下

最終的に日銀の長期債購入政策がどのようなスタイルでどのようなペースで拡大されて行くのかについては、現時点では不明である。しかし、日銀が資産買入基金で購入している1~3年ゾーンの需給が極端に逼迫して金利水準がゼロに接近する動きを見せている状況からすると、今後、日銀の政策が強化されて行く過程では、5年や10年といったゾーンにおいても類似の状況が引き起こされてくる可能性が否定できない。

10年債金利がゼロに接近することはさすがにあり得ないが、例えば、日銀が外債購入を行って歯止めなく円安が進んでゆくような状況の中で日本国債市場が向って行く方向とは、正反対の方向にはなってくるのではないか。すなわち長期債金利がまだこの水準から低下する可能性もあるということである。

森田 長太郎 オールニッポン・アセットマネジメント執行役員/チーフストラテジスト、ウォールズ&ブリッジ代表

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もりた ちょうたろう / Chotaro Morita

慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券、SMBC日興証券などで30年以上にわたりマクロ経済、金融・財政政策、債券需給などを分析し、2023年10月から現職。グローバル経済、財政政策、金融政策の分析などマクロ的アプローチを行うことに特色がある。機関投資家から高い評価を得ている。著書に『日本のソブリンリスク 国債デフォルトリスクと投資戦略』(東洋経済新報社・共著、2011年)、『国債リスク 金利が上昇するとき』(東洋経済新報社、2014年)。

 

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