債券投資家はなぜアベノミクスに踊らないか 市場動向を読む(債券・金利)

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安倍晋三政権の看板政策である「アベノミクス」の実効性をめぐり、株式市場と債券市場の評価は真っ二つに割れている。

株式市場では衆議院解散が決まった昨年11月半ば以降、デフレ脱却と景気回復への期待感がますます高まっている。日経平均株価は先週、連日で昨年来高値を更新して1万1000円台に乗せ、週間ベースでは12週連続で上昇した。これは「岩戸景気」と言われた1958年12月~59年4月の17週連続以来、実に54年ぶりの快挙という。

一方で債券市場は熱を帯びる株高を横目に冷めている。新年1月の長期金利は米債安もあって0.840%に上振れして幕を開けたが、その後は一時0.70%台前半まで急低下し、昨年12月の衆院選時のレベルに戻ってしまった。

株高の原動力は外国人投資家

正しいのは株式市場なのか、それとも債券市場なのか?  答えはいずれ判明する。

このように持続的な株高の原動力は、もとより外国人投資家が手掛ける「安倍トレード」だ。外国人は、日本経済がいよいよデフレから脱却して企業業績も上振れするというシナリオを想定し、株式を11週連続で、累計3兆円近くも買い越している。株式市場の業態別売買代金シェアは外国人が7割近くを占めているだけに、その影響力はたいへん大きい。

そんな外国人の強気に感化されたのか、ここにきて個人も上昇相場に乗り遅れまいと、“参戦”し始めたという。アベノミクス期待は楽観的な外国人から悲観的な日本人にも少しずつ伝播してきたようである。

もっとも、国内の機関投資家は慎重姿勢を崩していない。株式市場では外国人とは裏腹に、累計3兆円ほど売り越している。

債券市場参加者も予想以上の円安・株高基調に対しさすがに警戒感を覚え始めたようだが、巷で指摘されるような「債券を売って株式に乗り換える」という投資行動には至っていない。債券投資家は、はなからアベノミクスの実現性と実効性に懐疑的である。だからその目には、アベノミクスの奏功を先取りしている外国人主導による株高もまゆつば物と映っているのだろう。

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