著名人に仕事を依頼して「OK」と言わせる極意 相手をその気にさせる企画書は何が違うのか

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先ほど「一流の人は何より時間を大事にしている」と書きましたが、あなたの依頼は貴重な時間をつぶす“価値”のあるものでしょうか。

若い編集者に多いのが、「誌面に登場できるだけでうれしいはず」という誤解です。情報ソースがあふれている時代に、よほど権威ある雑誌ならともかく、“出るだけで価値がある”媒体なんてそうそうありません。私も自分が執筆した本の宣伝のため、テレビや雑誌に出てほしいと言われることがあるのですが、たまに「ここに出て宣伝になるのだろうか」と考えてしまう依頼もあります。媒体のターゲットはわかりやすく明記しましょう。

ターゲットは3W1H(「いつ」「どのエリアで」「誰が」「どうやって」)で示すことが大事です。もちろん、先方が宣伝したいものとターゲットが一致するように書くのがコツです。もし女性をターゲットとしている人なら、「男女比6:4」と書くより、「4割は女性読者です」と書いたほうが、説得力があります。先方に「この人、わかってるな」と思わせたら勝ちです。

あなたでないとならない理由を入れる

以前、深夜ラジオ番組のディレクターの方から出演依頼を受けた時、「以前、『○○○』というエッセー本を番組で紹介したら、書店でものすごい反響があったと聞いています」と企画書に書かれていて、がぜんやる気になったことがあります。出演者のモチベーションにも大きくかかわってくることですから、出演する側のメリットをきちんと明記することはとても重要です。

一流の人たちを取材するときに私がよく聞く質問があります。それは「将来に不安はないのですか」というもの。驚くべきことに一流と言われる多くの人が、少なからず将来に不安を持っています。「いつ仕事がなくなるかわからない」という不安を抱えながら仕事をしているのです。そのため、一流の人は「仕事相手を必ず“満足”させたい」と考えています。

裏を返せば、「満足してもらえなかったらどうしよう」とひやひやしているということです。そのため私は、企画書に「どうしてもあなたではないとならない理由」を盛り込むようにしています。

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