著名人に仕事を依頼して「OK」と言わせる極意 相手をその気にさせる企画書は何が違うのか

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講演会に呼ばれて出向いたら、オフィスの奥にあるパーテーションで区切られた小さな会議室で数人の新入社員の前で話をする羽目に――なんて話を聞いたことがあります。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの社長でも、知名度がない駆け出しのころはそんな扱いをされることが結構あったはず。そういう経験があるだけに、自分の「扱い」にはとても敏感なんです。

通らない企画書を見ると、「場所:弊社にて」とシンプルに書いてある場合が多いのですが、それでは相手は不安になります。「弊社本社ビル大会議室(大ホール)にて。幹部候補社員50名に向けてお話しいただきたいと考えております」と当日の様子がイメージできるように書くといいでしょう。

「控室として、役員用応接室をご用意いたします。また、当日は弊社役員もご挨拶させていただく予定です」といった感じで、「下にも置かぬ扱い」であることをさりげなく盛り込んでおく。「さすがに役員はちょっと……」という場合なら、「直属の上司である課長の○○」でもいいので、会社を挙げて歓迎する雰囲気を伝えると相手は安心します。

「格」という意味では、一流の人は「並び」も非常に気にします。「過去に誰が出ていたか」ということです。私は、過去の出演者を十数人、企画書に書いておくようにしています。もちろん書くのは大物の名前です。よく連載は第1回目のゲストが大事と言いますが、それは連載に花を添えるということだけでなく、2回目以降の人選がラクになる、という意味もあるんです。

「特別感」をきちんと出しているか

先ほど、1回目が大事というお話をしましたが、「うちは知名度がないから、1回目に大物を呼ぶなんてとてもとても……」と思う人もいるでしょう。しかし、その1回目を逆手にとって、大物を呼ぶこともできます。「記念すべき第1回目のゲストとして、若年層に絶大な人気を誇る○○様にご登場いただきたく……」と書いておくと、「特別感」が出て興味を持ってもらえます。

依頼をするにあたって「特別感」を出すことはとても重要です。誰だって「特別扱い」してもらえればうれしいものですし、“特別”なものにはビジネス的な「波及効果」もあります。

雑誌でいえば、特別号は部数が増える場合がほとんですし、宣伝の費用も通常よりかけることが多いでしょう。普段は読まない人でも特別号なら手に取る可能性もあります。知人の売れっ子作家は「どんなに忙しくとも、特別号の仕事は必ず引き受ける」と言っていました。売れる人はそうやって、チャンスを逃さないようにしているんです。

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