大暴落に備えて個人投資家が身を守る方法 オルタナティブ投資の活用を考える

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前述のように、非伝統的な金融政策が市場の歪みを拡大している。破格の流動性が放出されて、特定の市場の薄いマージンに資本が殺到している。もう一つ、歪みを拡大している要因がある。それは運用の世界がアクティブ運用からパッシブ運用へ移ってきたことだ。インデックスファンド、ETF、バランス型運用、スマートベータなどといった投資手法が投資家からの支持を拡大している。アクティブ運用に比べて、コストが低く、透明性が高い(わかりやすい)というのがその理由だ。

こうした投資行動を支持する理論の大前提は市場が効率的であるというものだ。しかし、皮肉なことにアクティブ運用をやる人がいなくなると、市場は効率的でなくなるので、歪みが拡大する。みんながみんなインデックス運用、バランス型投信、ETF、スマートベータなどを目指すと、知らず知らずのうちに自分たちの投資行動が歪みを拡大してしまう。ジョージ・ソロスがいうように、ヘッジファンドの収益機会が拡大している。

歪みをとるのはゼロサムゲームでしかないのだが、今の市場環境は、そのようになりつつある。これからのゼロサムゲームの中で結果的にいちばん割を食うのは、前述のように、インデックス運用を行っていたところへ、一時的に大きく市場が荒れて、耐え切れずに損切りを余儀なくされてしまう、という人たちになる。

コア資産のリスクを分散するメリット

当社の主要戦略のひとつ、「人間(ポートフォリオ・マネジャー)が裁量を加えないモデル運用」の実績は、2014年2月から2.5倍くらいになっている。

特徴は株や債券などの主要な資産が下がっている時に、リターンをあげている点だ。つまり、市場との相関が低いということ。このように、ポートフォリオのコア資産に分散効果をもたらすオルタナティブな投資手法が入っていると、下げ相場に対する保険になり、ポートフォリオ全体のリスクが下がる。

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