大暴落に備えて個人投資家が身を守る方法 オルタナティブ投資の活用を考える
当社は機関投資家向けのヘッジファンドなので、最近は、地方銀行から相談を受けることが多い。しかも、10年前とは様変わりで、頭取以下経営トップが市場運用に対する強い関心と問題意識を抱くようになった。というのも、いま、運用機関でいちばん苦しんでいるのは元本保証でおカネを集めている銀行だからだ。
地方銀行はバブル崩壊以降、貸出が不足する分を有価証券、主に日本国債で運用してきた。これまでは金利が下がって(債券価格は上昇して)きたので日本国債での運用は大成功だった。しかし、マイナス金利になってしまうと、さすがに、経費など間接コストも賄えない状態になる。過去の高クーポン債が償還を迎える2018年度以降の決算を作れるかどうかが深刻な問題となっている。
個人投資家でもできるオルタナティブ投資
株や債券を買うことでは儲からず、リスクが高くなっている中でどうするか。地方銀行からの相談には、マイナス金利政策の下でリターンを上げるためには大きく3つの方法があるということをお話している。
一つは低流動性資産を持つことだ。市場性が低く、換金しにくいものを持つこと。プライベートエクイティとか不動産とか風力発電などインフラへの投資などだ。現金化しやすいこと(=流動性のメリット)を放棄する見返りとしてリターンが高い。オルタナティブな資産クラスに投資をするという教科書通りの方法だ。先進的な機関投資家として知られる米国名門大学のエンダウメントにならって、年金基金は早くからこうした投資を手がけてきている。
二つ目の方法はヘッジファンドのようなオルタナティブな投資手法をとること。すなわち、β(ベータ)ではなく、α(アルファ)、つまり市場の歪みをとりに行く運用手法だ。((注)βは各資産クラスのリスクとその対価としてのリターン。αはある資産クラスにおいてベンチマークを上回る超過リターン、市場が効率的でなく歪みがあれば、超過リターンを得られる)
三つ目は円に投資機会がないのだから、為替リスクをとって外貨建て資産を買うことだ。
個人投資家の場合は、プライベートエクイティなどのオルタナティブ資産クラスに投資をすることはなかなか難しい。しかし、二つ目の方法は、昨今、活用が可能になってきた。米国などでは、リキッド・オルタナティブと呼ばれる、ヘッジファンド投資の民主化が進んでいる。
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