ミーティングが終ったら議事録をとり、決定事項も書類にする。昔、上司から「すべての書類、FAXのコピーを取って2部ずつ保管しておきなさい」と言われました。部下をしかるときなども、顔を見て直接しかることが多いですが、中にはあえて「どうしてこんなことをしたの?」と書面やメールでしかることもあります。その場合は返信もメールか書面で送ってくることを望みます。
――証拠を残すためですか?
そうですね。ですから、ものすごい量の文書を管理しなければいけないのです。そういったことから書類などをシステマティックに管理するのは得意ですよ。
――マダガスカルの人をPCに例えて考えてみると、本体のハードはフランス式、ソフトはアジア式ということでしょうか? アラブやアフリカ式のところはありますか?
ハードのデザインはアフリカ式と言っておきましょうか。民族衣装は全体的にアフリカスタイルで軽い服です。温かい海側はアフリカの民族衣装ですが、高地に行くとスカーフを巻くなど、アジアに近い服になります。服装でどこの出身かがわかるほどです。
マダガスカルには「ムラムラ」という言葉があるのですが、これは「Flexible (柔軟)」という意味です。暖かければアフリカの服を着るし、寒ければアジアの服を着ます。与えられた環境に応じるのがマダガスカルです。アフリカの人たちの中には日本に来ても自分たちの価値観や生活スタイルを維持しようとして「なんで日本式にしなければいけないのだ」という人もいますが、マダガスカルの人は与えられた環境に順応します。
――確かに、私はアフリカやアラブ30カ国以上から来たインターンシップ生に対し、日本のビジネスマナーの講義を担当していますが、タイムマネジメントや品質管理など「自分の国のやり方が一番」という人が結構います。でも、マダガスカルの人は柔軟に対応していますね。
言語に関してもとても柔軟なので、マダガスカル人は外国語を学ぶことが好きです。英語、フランス語などはビジネス、スポーツ、観光などの中に入っていますし、祖先がインドネシアから渡ってきた人が多いので、インドネシア語の中にはマダガスカル語と似ている単語があるのですよ。そしてマダガスカルでは日本への興味もあります。若い人は日本のファッションやマンガが好きですね。
その中でマダガスカルにとってよかったことがあります。それは、18の部族がいても、すべての部族がマダガスカル語を使い続けたことです。国がマダガスカル語でまとまっており、コミュニケーションが楽に行えます。イギリス、フランスなどの影響を受けましたが、フランスの影響化でも、フランス語は公的な文書などで使用されるのみで、家庭ではマダガスカル語を話していました。自分たちの言葉を持ち続けたことが文化のひとつです。
長い長い名前のワケ
――名前にもマダガスカル語が使われていますよね。それもとても長い! 今の大統領は、歴代で一番名前が長いと聞きます。どうして名前が長いのですか?
大統領の名前はHery Martial Rakotoarimanana Rajaonarimampianina。本当に長いですよね。ファミリーネームが2つとファーストネームが1つで名前になります。ときにマダガスカル語とフランス語が混ざることもあります。
名前には単語ごとに意味があり、親が願いを込めて過去からのものを守りつつ、さらに単語をいつでも加えて行くことができるのです。
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