結局、戦前期には「大日本主義」が優勢になった。それが中国侵攻と対米開戦という大失敗につながり、日本は敗戦を迎えた。
戦後になると、この論争はほとんど影を潜めた。日本は米国に負け、米国に占領され、米国の戦略目標に従う形で再建の道を歩んだ。これが吉田ドクトリ ンの神髄であり、日本にとっても幸福な選択だった。日本は、米国による安全保障の保護の下で、経済大国として自らを立て直すことができたのだ。
戦後の大部分の期間を通して、日本のリーダーたちは戦前期のリベラル国際主義を引き継ぎ、おおむね一貫してその見解を支持してきた。
吉田ドクトリンは、国内でつねに左派と右派双方から批判されてきた。そうした人々は、「日本は戦後の対米依存から脱却すべきだ」「米国が作り上げた戦後秩序が、日本が主権と自立を主張することを妨げている」と訴えた。
私が見るところ、安倍首相は、吉田ドクトリンに批判的な保守系ナショナリストの立場にある。安倍氏のこのような思想は、祖父の岸信介から受け継いだものだ。一方、鳩山由紀夫元首相の場合は、おおむね祖父の鳩山一郎の思想を受け継ぎ、石橋湛山の「小日本」の考え方にも近く、そこに従来からの日本の左派の要素がいくらか混じり込んでいる、といったところだ。
鳩山氏に近い立場の人々は、日本のアジア回帰を重視する。そして反米主義の色彩が混じっている。これもまた、いろいろな意味で、日本に以前から存在していた主張であり、冷戦終結後、よりはっきりとした形で再浮上してきた。しかし残念なことに、この見解は以前と比べて創造性に乏しい。
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