シェール革命で世界はどう変わるか【上】 LNG基地運営会社の幹部を直撃

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米国には天然ガスの内需を満たし、輸出するだけの供給のベースが十分ある。国内価格に与える影響はミニマム(最小限)だと考えられる。

一方で、LNG輸出プロジェクトは上流のガス開発からパイプライン敷設、LNG基地建設・運営に至るサプライチェーンで、2万~3万人の半永久的雇用を生む。また、米国は世界市場へのLNGの供給量を増やすことにより、世界のエネルギー安全保障の強化、地政学的な安定化に大きな貢献をすることができる。さらに、LNGの輸出は米国の貿易バランスにも好影響を与える。海外から米国への投資も増える。

日本は今、福島の原発事故を受けて、LNGの供給基盤を増大することが求められている。アジア地域における重要な同盟国である日本だからこそ、米国政府、米国民はそれに寄与したいと考えている。

メキシコ湾岸の理想的立地、申請順からも最有力

――現在、米国エネルギー省には15件を超すLNG輸出プロジェクトが認可申請されており、非FTA国向け輸出の承認を待っている。フリーポート社のプロジェクトが他と比べて勝っている点は。

まずロケーションだ。当社の基地計画があるメキシコ湾岸のテキサス州フリーポートは高度に工業化された地域で、豊富かつ優良な労働力と発達した天然ガスのインフラがある。テキサス州にはイーグルフォードやバーネットなどシェールガスの産地が多く、潤沢な資源へ容易にアクセスできる。地方政府も新たなインフラ整備への支援に対して非常に前向き。税制面でもビジネスフレンドリーだ。極めて理想的な立地と言えるだろう。

また、タイミングの観点からも有利だ。

米国エネルギー省は昨年12月5日に外部研究機関(NERA)を使ったLNG輸出のマクロ経済影響に関する報告書を公表した。その報告書に対するパブリックコメントの期間が2月下旬に終わり次第、規制当局(FERC)が申請順位の早いプロジェクトを優先的に審査する方針にある。当社のプロジェクトの申請順は、すでに認可されたサビンパスに次ぐ2番目のものだ。

――現状、認可の確実性とタイミングをどう見ているか。

最初のパブリックコメントの期間が1月24日で終了し、翌日から2月25日まではプロジェクト申請者のそれらに対するコメントが募集されている。それらすべてを踏まえて当局によるプロジェクトの個別審査が行われる。当社では社内的に、認可は3月か4月と見ている。

――リスクはないか。

NERAのマクロ経済的研究やエネルギー省によるこれまでの分析、さらに他のさまざまなLNG輸出に関する調査結果を踏まえれば、エネルギー省が認可を見合わせる理由はないと見ている。LNG輸出に対して反対を唱える勢力が、LNG輸出は「パブリックインタレスト(公益)」に反するという説得力のある反論を提示できない限り、エネルギー省は認可を与えるべきだ。われわれとしては、承認プロセスができるだけ早くなされることを望んでいる。

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