シェール革命で世界はどう変わるか【上】 LNG基地運営会社の幹部を直撃

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――1月24日に民主・共和両党から超党派の110人に及ぶ米国国会議員が、LNG輸出を認めるようエネルギー省長官に要請書を提出した。シェールガス産出州の議員が多いようだが、どう受け止めたか。

LNG基地建設による雇用や資材製造など何十億ドルにも及ぶ景気刺激効果を考えれば、そうした動きに驚きはない。

近視眼的な反対論、急先鋒の化学業界にも実はメリット大

―一方、ダウ・ケミカルなど天然ガスのユーザー企業のLNG輸出反対をどう見るか。

幾分驚きを感じているというのが率直な印象だ。天然ガスを生産すれば、それに随伴して天然ガス液(NGL)も生産されるが、NGLは化学業界の原料となるものだ。LNG基地に対する天然ガスの供給は必然的に化学製品の増産につながり、供給量が増えるほど原料価格も割安になっていく。

一部の化学メーカーはガス価格へのインパクトのみに焦点を当てているが、それは近視眼的であり、もっと全体の構図を見る必要がある。

また、天然ガスの資源量は膨大であり、ガス価格に大きな影響を与えることなく、化学業界とLNG輸出の需要の両方を満たすことが可能だ。

――価格への影響に鑑み、エネルギー省が全体としてどこまでの輸出量を認めるかも注目される。

エネルギー省の報告書では、LNGの輸出量がどれだけ拡大してもマクロ経済的にはネットでポジティブとされている。しかも、便益は輸出量が多いほど高まるとしている。価格へ与える影響も無視できるほど小さい。

たとえ米国内のガス価格が上昇した場合でも、外国のガス価格との関係からマーケットの調整力で米国の輸出量が一時的に抑えられ、価格も再び収束するだろう。そのため、エネルギー省が輸出制限を正当化する理由はあまりないとわれわれは見ている。

同盟国の日本をサポートできることは光栄

――液化加工契約を結んだ日本の大阪ガスと中部電力をパートナーとしてどう見るか。

両社はLNG市場において世界のキープレーヤーであり、Aクラスの設備を有する主要なLNGユーザーだ。われわれにとってファーストクラスの顧客だと考えている。彼らがプロジェクトを支えてくれることは非常に喜ばしく、エキサイティングだ。

当社と米国にとって、主要な同盟国である日本が福島原発事故によるハードルを乗り越えるのをサポートできることは、非常に光栄だと考えている。

今後、LNG基地建設などまだまだ長い道のりだが、パートナーとの密接な関係を維持してプロジェクトを成功させたい。

(「シェール革命で世界はどう変わるか【下】」は2月13日配信予定)

週刊東洋経済2月16日号

中村 稔 東洋経済 編集委員
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