創業間もない企業がリスクをとって機動的に事業に挑戦する一方で、成長して大企業になると経営が守りに入り、新しい取り組みに対して動きが遅くなるケースが多くなると言われています。
いわゆる「大企業病」で、実際、日本企業の多くがこの組織の病に悩んでいます。この大企業病を打破し、イノベーションを起こし続ける企業を増やすため、民間の先駆的な経営者のグループ「イノベーション100委員会」が設置されました。本稿では、その活動を説明します。
大企業が抱える問題
大企業の経営企画部門などの新事業担当の方と意見交換をすると、「仕事がうまくいかない」と愚痴が続く場面に時々出くわします。新しい事業に挑戦しようとする彼らにとって、愚痴の矛先は、経営者や事業部門の責任者です。
「既存の成功モデルから脱却できず、新しいモデルへの転換機会を逃している」、「短期業績対策に資金や人材を集中させるので、中長期の戦略的な手が打てない」、「自社の技術や組織への過信が強く、社外リソースを探索したり、取り入れたりできない」といったことが論点です。
企業が創業・成長期を経て、大きな組織になれば、守るべき事業、顧客が増えます。むやみに新しい事業に予算や人員を割かず、既存の路線を着実に進みたいという慣性が働きます。組織の中で、稼ぎ頭である既存事業部門は羽振りがよく、その一方で、新しい種をまいて育てる新規事業部門はコストセンターとして肩身の狭い思いをしがちです。しかし、海外や他分野で新しい技術やビジネスモデルを持った強力なライバルが台頭し、今何かをしないと会社の将来は先細りになってしまうという漠然とした不安を社員みんなが持っています。
このような状況を打破するために、「イノベーション100委員会」が設置され、新しい取り組みを推奨する運動を展開しています。
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