企業が革新を持続するための5つの行動指針 「イノベーション100委員会」の提言とは?

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イノベーション100委員会とは、「日本をInnovation Nationにする」という目的で、新事業創出について先駆的な取り組みをする経営者によって設置されました。座長は元ソニー社長の安藤国威氏(Japan Innovation Network 常務理事)で、初年度に集まったメンバーは、アサヒグループ、ANA、NTTデータ、KDDI、コクヨ、コニカミノルタ、ソニー、第一三共、電通、東京急行電鉄、東レ、日本電気、富士フイルム、三菱地所、三菱重工、三菱UFJフィナンシャル・グループ、LIXILの17社の経営者です。

事務局は、経済産業省、Japan Innovation Network、WiLが務めます。主な活動は、経営者によるイノベーティブな取り組み内容の共有とその普及です。座談会やシンポジウムのパネルディスカッションなどで、経営者のリーダーシップで新事業に積極的に取り組むべきと呼びかけています。いわば挑戦する経営者の運動体、新しい取り組みのショーケースです。先駆的な企業が100社になれば、クリティカルマス(大きな変化が起こる分岐点となる集団)が形成され、日本企業全体が変わる潮流ができるとの想いでイノベーション100委員会という名称になっています。

安藤座長は語ります。

「かつての日本の成功モデルが全く通用しなくなったと言われ、今また第4次産業革命の波に洗われようとしている中、日本の経営者に求められているのは、時代の変化を見極め、勇気と覚悟をもって自社の進むべき方向性を示し、率先して行動すること。日本から新しいイノベーションの流れを作り出し、イノベーションによって生み出された価値が世界のさまざまな場面で社会に貢献する。それこそが日本の企業に世界が期待していることではないだろうか。」

新しい挑戦の事例

イノベーション100委員会では、初年度の活動をレポートにとりまとめています。その中で紹介されている取り組みには、次のようなものがあります。

<三菱重工業>

三菱重工業は、イノベーションを誘発する組織再編として、製品視点の事業所・事業本部制から、顧客視点のドメイン制への移行、戦略的事業評価制度の導入による人材・資金の再配分などの改革を進めてきました。その成果である、MRJ(三菱リージョナルジェット)は、イノベーション理論の大家クレイトン・クリステンセン教授に「これぞ破壊的イノベーション」と評価されています。

大宮英明会長は「全事業を市場性と財務健全性で評価し、伸長・維持、変革、新規、縮小・撤退に格付けした。例えば、新規に格付けされている事業は当面、利益を生まないが注力する事業であることを示す。格付けに応じ、投下資本と要求リターンを明確にし、選択と集中を加速する」と語ります。

<東京急行電鉄>

東急電鉄では、出戻り可能で失敗を許容する社内起業家育成制度と、外部の起業家に東急グループのプラットフォームを活用してもらうアクセラレートプログラムを整備して、組織の垣根を越えたイノベーションを創出しています。

野本弘文社長は社内起業家育成制度について「3年経って1回様子を見て、順調ならばあと2年続ければいい。撤退するときは撤退していい。失敗してもマイナス評価になることはないので、とにかく思い切りやってほしい」と語ります。

このような制度はめずらしく、すでに多くの人が応募しているとのこと。また、社外のベンチャーと連携するアクセラレートプログラムについても、「外部の企業家の視点を活用することで、自分たちが気付かずに眠らせていた宝を発見できる。何もしないで眠らせているのは、もったいない」と積極的に推進しています。

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