「マザーズ指数先物」に過大な期待は禁物だ 「市場の安定化に一役買う」とは言い切れず

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しかし、未だに「東証マザーズ指数ETF」は登場していない。5月末時点で東証には202本のETFが上場しているが、マザーズ市場を対象としたETFは、東証マザーズ上場銘柄を代表する15銘柄に投資する「マザーズ・コア(1563)」1本にとどまっている。

これだけトレーディング環境が整備されて来たにもかかわらず、未だに「東証マザーズ指数ETF」が登場していないという事実は、「東証マザーズ指数ETF」や「東証マザーズ指数連動ファンド」の商品特性を維持する運用が極めて難しい状況に変わりがないことの証左でもある。

新興市場ゆえの特性とは?

マザーズ指数に連動させるファンドの運用は、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数を対象とした商品と比較して、極めて難しい。

TOPIXや日経平均株価、JPX日経400などの指数に連動させること目的としたインデックスファンドの運用はそれほど難しくない。それにも関わらず東証マザーズ指数に連動させるインデックスファンドの運用が難しいというのは、マザーズ市場が新興市場ゆえの特性を持っているからだ。

成長企業を中心としたマザーズ市場が持つ特性は、企業が成長していくとマザーズ市場を「卒業」し、東証1部などへ市場変更していくことである。
当然ながら「卒業」して東証1部に市場変更していく企業の時価総額は大きくなっており、指数における構成比率も高くなっている。

つまり、成長した企業が「卒業」する際には、ポートフォリオの管理上、最も構成比率の高い銘柄を売り、「卒業」しない銘柄を買い増すという大きな調整売買を強いられることになる。

「卒業」銘柄が出ることによって、運用上大きな調整売買が必要となる一方、指数そのものは一定の数式によって瞬時に調整され連動性は保たれる。

指数の連続性が維持される中で、ファンド内では構成比率が高い「卒業」銘柄を売却し、構成比率の低い銘柄を買い増すというコストのかかる売買をしなければならない。数式で瞬時に行われる指数の連続性と、手間とコストのかかる調整売買を強いられるポートフォリオという「ギャップ」が、指数との連動性を失わせる要因になってしまうのだ。

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