増える海外移住 「脱ニッポン」という選択 アジアで暮らす日本人が増加中

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教育移住、介護移住… 海外生活の目的が多様化

「11年3月の東日本大震災後、移住への関心が大きく高まった。以前は富裕層が中心だったが、今は広がりが出てきている」と語るのは、海外移住に詳しい安田修氏。安田氏の元には、小学校入学前の子を持つ母親からの問い合わせメールが増えている。「子どもの教育」のために真剣に移住を検討している親からの質問だ。マレーシアに昨秋開校した英国名門校の分校には、日本人の親子が数多く見学に訪れている。

「介護」を目的とした移住も増えている。認知症の母親の介護に、日本では月33万円かかったが、マレーシアでは10万円ほどで済んでいる。医療水準の高いタイでの介護も月10万円程度だ。

従来からある、「年金」を元手にした海外移住も活発だ。今、日本でもらえる年金は月額約23万円(会社勤めで平均的な給料を40年間もらった夫と専業主婦の妻が受け取れる合計額)。マレーシアなどのアジアに移住すれば、ゴルフざんまいの豊かな生活が、月20万円あれば実現できる。

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注:()内は2010年の1人当たりGDP
(出所)総務省「世界の統計」

「働く」目的でアジアに暮らす人も増えている。1人当たりGDP(国内総生産)が大きく伸びた東南アジア各国は、消費市場としての魅力も増している。イオンやモスフードサービスなど、日本の消費関連企業も東南アジア展開を加速している。

自らアジアに飛び込む人もいる。可能性を広げたいとシンガポールでの就職を果たした29歳、駐在員生活を経て60歳でタイ企業に就職した人など。

「韓国人の教育移住は15年ほど前から始まっている。父親は韓国で働き、母子がマレーシア、という家族をたくさん見てきた」と言うのは、マレーシアの不動産会社コスモス・プランの石原彰太郎社長。日本でもようやくその動きが始まったということか。日本人のアジア移住は今後ますます増えていくだろう。

(週刊東洋経済2月9日号

週刊東洋経済編集部
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