化学メーカー「大再編時代」、日本は勝てるか 住友化学社長が語る「今後の生き残り戦略」

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ーー国内でも大型再編が起きる可能性は?

マスコミの皆さんがイメージされているのは、大手の総合化学メーカーが会社丸ごとくっつくような再編ですよね。ゼロとは言わないまでも、現時点でそうした再編が起きる可能性は低いのではないか。

十数年前には当社と三井化学が経営統合寸前まで行ったが、当時は両社とも装置産業の伝統的な石油化学(石化)が主力で、同事業の規模を拡大するメリットがあった。しかし、今はどうかというと、国内の石化は需要の減少が続き、業界全体として過剰になった上流設備(エチレンなど基礎化学品を作るナフサクラッカー)の能力を削減する流れにある。

一方、各社は近年、汎用の石化から機能性材料やライフサイエンス関連といったスペシャリティ・ケミカル領域に軸足を移しており、個社ごとに得意分野は違ってきている。そうした中で、総合化学メーカー同士が単にくっついても、さほど大きなメリットがあるとは思えない。

勝てる土俵を選び、投資を集中する

ーーでは、住友化学は勝ち残るためにどういった戦略をとるのですか。

方向性は非常に明確だ。当社は他社に先駆けて付加価値の高いスペシャリティ、具体的には「農薬・飼料添加物」、「(液晶・半導体向けの)電子材料)」、「医薬品」などの強化に取り組んできた。すでに売上高で7割、利益では8割前後をこれらが稼ぐまでになり、前2016年3月期は過去最高の連結営業利益(1644億円)を計上できた。

戦略としては、こうしたスペシャリティをより強くしていく。大事なのは自分たちが戦う土俵を選ぶことだ。農薬や電子材料、医薬品といった分野は高い技術力が要求され、中国や韓国などのアジア勢と差別化できる。新規の投資もこれらの事業へ優先的に振り向ける。少なくとも、中国の国営企業と単純な投資競争になってしまうような分野では勝負しない。

ーー医薬品と農薬事業に関して言えば、欧米の巨大な企業がライバル。そうした欧米勢との競争にも勝てますか。

医薬、農薬とも大きな柱に育ったが、それでもまだ年商規模は前期実績で医薬が約4300億円、農薬も2500億円前後。いずれも欧米の巨大企業の事業売上高は1ケタ大きく、同じことをやっても勝ち目はない。当然、医薬、農薬の中でも戦う土俵は選ぶ。当社グループに独自の技術やノウハウがあり、勝てる確率が高いかどうか。そういった基準で対象を絞り込み、勝負する領域に研究開発や生産設備のための資金を集中的に投じる。

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