タクシー料金は本当に「タダ」になるのか? 業界最大手の会長が語る、SFのような現実

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タクシー業界は配車アプリの競争を経て、自動運転の時代に突入しそうだ(撮影:今井康一)
「東京23区の初乗り料金を1キロ410円へ」
今春、タクシー最大手・日本交通の川鍋一朗会長が変更申請を提出した初乗り料金の値下げニュースが話題を呼んだ。既存の初乗り料金は2キロ730円であり、今回の申請は「ちょい乗り需要」の開拓を狙ったものだ。
川鍋氏は、外資系コンサルティング会社マッキンゼーを経て、祖父が創業した日本交通の社長に34歳で就任。IT化を進めるなど、業界の因習にとらわれることなく改革を進めてきた。料金変更は改革の一部分にすぎない。今後、目指すのはアプリや自動運転技術を活用して、「拾う」タクシーから「選ばれる」タクシーへと変貌を遂げることだ。川鍋氏が展望する未来のタクシー像とはどのようなものなのか。

 

今後、タクシーは自動運転へと進んでいく

――米国の配車サービス大手・Uber(ウーバー)が世界で勢力を拡大するなど、タクシー業界周辺にはイノベーションの波が押し寄せています。

最終的にタクシーは自動運転になると思っています。ただ、そこにたどり着く前に、タクシーアプリを利用して人が乗ったタクシーを呼ぶという段階があるだろうと。ですから今から10年はアプリの戦いで、30年後に自動運転タクシーへと進んでいくと思います。この2つは、今まで日本で約100年やってきたタクシービジネスとは全く異質のものです。

タクシーの提供価値は、なるべく早く来る、それから礼儀正しく応対し、できれば安い。この3つが重要です。今まで乗客とタクシーの位置が偶然一致していたところ、アプリを活用することにより意図的に合わせることでさらに早く来ることが可能になったんです。

アプリによってサービスの評価付けをして、技術的なアプローチから良いサービスを生み出すこともできるでしょう。また雨が降っているときの料金は高く、晴れているときは安くする。タクシー産業はほかの産業に比べてもITのインパクトが大きいと考えています。

――「全国タクシー」というアプリでは、日本交通を含め利用できるタクシー会社が増えています。

開発はスタートしたばかりです。今後は例えば「全国タクシー」を使ってタクシーを呼ぶと料金が安くなるようにしていきたい。動画広告が出てそれを視聴すると50円引きになるとか。アプリを利用したほうが安くなるという時代がもうすぐ来ますね。

さらにいえば、乗車前に料金を固定するということができると思うんですよね。ここから渋谷駅まで行くとなればどれくらいかかるか調べると1500円だと。じゃあ、1500円で決定という感じですね。

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