タクシー料金は本当に「タダ」になるのか? 業界最大手の会長が語る、SFのような現実

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――トヨタが先日ウーバーに出資するなど大企業が配車ビジネスに乗り出しています。タクシー会社の存在意義が問われかねません。

日本交通の川鍋一朗会長はタクシー業界の未来を大胆に予測する(撮影:今井康一)

そうですね。30年後ぐらいに自動運転が可能になった時、自動車の送迎ビジネスはどこが手掛けるのか。それはタクシー事業者なのか、ということです。

日本でいきなり「タクシー会社さよなら」となるとは、現実論としては考えにくいとすれば、やっぱりタクシー会社にもチャンスはあるはずです。そこで、われわれは自動運転車両を買うか、他社と提携して自動運転タクシーのオペレーションに乗り出すといったことが必然となってくるでしょう。

自動運転タクシーの料金は、最終的に無料になると私は思っています。乗車している間広告を流す、いわゆる広告モデルですよね。広告をオフにすることもできて、その場合は料金が少し高くなるというイメージです。そうなれば電車やバスの市場を相当侵食するでしょう。人間の移動がもう全く変わってきて、クルマ中心になっていく。

タクシーが自動運転を牽引していきたい

――タクシー会社が自動運転の広告塔としての役割を果たしたいという意向も示していますね。

自動運転の普及初期は、車両価格がたとえば3000万円とか4000万円とか高額で個人ではなかなか手が届かない。それをタクシー会社が買っていろんな人を乗せる。すると、「へー、なんだ。自動運転って大丈夫なのね」と分かって頂ける。一般の方が自動運転に触れる最初の経験はタクシーになるはずなんですよ。

実ははるか昔、自動車っていうものがものすごく珍しい時代に、やっぱり一般の方が最初に乗った自動車はタクシーだったんですね。そして、当時のタクシーは高級だったんですよ。

――時代は繰り返すというわけですね。

そうです。自動運転の時代が来れば、われわれタクシー会社がオペレーションしたい。もしくはわれわれと一緒に組んで、爆発する市場で勝ち残っていきましょうということです。

自動運転の実証実験をやることになれば、絶対タクシー会社も絡むことになる。ですから自動運転は大ウエルカムで、国交省ともやりとりさせて頂いて、市場の活性化につなげてきたいですね。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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