日系社会の衰退とオンライン化の「二重苦」
ハワイにはこのほか、日本語メディアとしては『ライトハウス・ハワイ』『パシフィックプレイス』のような生活情報誌もあるが、これらも精彩を欠いている。こうした事情は日系人が多いロサンゼルスでも同じで、日本経済の衰退とともにアメリカにおける日系社会も衰退し、それとともに日本語メディアも衰退するという悪循環が続いている。
『ハワイ報知』はかろうじて生き残ったが、日刊紙の『イーストウエストジャーナル』は、09年に33年間の歴史に幕を閉じている。
アメリカでは、ここ数年、地方紙がどんどん減っている。紙からオンラインへの流れはあらがいようがなく、ホノルルでも2紙あった地方紙が、今は1紙になっている。かつて街角のニューススタンドで、『Honolulu Advertiser』紙と『Honolulu Star Bulletin』紙のどちらを買おうか迷ったが、10年6月に『Honolulu Advertiser』が『Honolulu Star Bulletin』に吸収され『Honolulu Star-Advertiser』1紙になってしまったので、もう迷うこともなくなった。
日系社会の衰退とオンライン化という「二重苦」の中で、もがき苦しむ日系人向けの日本語の紙メディア。いずれ、ハワイから日系人向け紙メディアがなくなってしまう可能性はもはや否定できない。その一方で、観光客向けに盛況を極めるフリーマガジン。
このような対照的な状況は、日本の紙メディアの未来を考えるうえで、一つのヒントになるかもしれない。
現在、『アロハストリート』では、ますますオンラインに力を入れている。すでに、アップストアで電子マガジンアプリを販売しており、最新号は「iPad」「iPhone」で読める。また、サイトのすべてのスマートフォンへの最適化も実施している。
ホノルルの街角からマガジンスタンドが消える日は来るのだろうか?
※山田順氏による「紙メディアvs.ネット」の連載は今回が最終回となります。長らくご愛読いただき、誠にありがとうございました。近日中に、新しいテーマで山田氏の連載がスタートいたしますので、ぜひご期待ください。
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