ハワイでは新聞壊滅、フリーペーパー盛況 ハワイは日本の未来図か?

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多くのお金を使う日本人観光客は貴重な顧客

『アロハストリート』の発行母体は、欧文印刷という日本の中堅印刷会社だ。和田CEOの父親がハワイ好きで、70年にハワイに会社をつくり、以来、和田CEOもハワイと深くかかわってきたという。

欧文印刷はハワイに会社がある関係で、76年に講談社がハワイのムックを作るとき、現地での広告の集広を請け負った。そのとき予想以上の成果があり、それが基盤となって、81年に『アロハストリート』を作ることになった。

「現在、ハワイで出ているフリーマガジンの中で、旅行社などのバックアップなしに収益を上げているのは、私どもと、ほかに1~2社ではないでしょうか?」(和田CEO)

ここで、ハワイで発行されている日本人観光客向けフリーマガジンをざっと紹介すると、まず、『アロハストリート』に匹敵する『カウカウ』という月刊誌がある。ただ、こちらは基本的にレストラン、ショップなどの割引きクーポンと広告だけで構成されている。読み物記事はほとんどないが、それだけにクーポンの数が多いので利用価値は高い。

それ以外に、和田氏が言う、旅行社がバックアップしている『レアレア』(年4回発行、発行元HIS)と『ラニラニ』(年4回発行、トップツアーがバックアップ)がある。ほかに、JTBが発行元となっていた『るるぶFREE』(隔月刊)もあったが、今年1月に休刊となった。

ワイキキの街角。どこにでもあるマガジンスタンド

これほど日本語フリーマガジン数が多いのは、ハワイを訪れる日本人観光客がいかに多いかということを物語っている。日本人観光客は、リーマンショック、東日本大震災などで一時的に落ち込んだものの、現在は完全に復調しており、毎年120万~140万人がハワイを訪れている。これは、アメリカ本土からの観光客約500万人に次ぐ第2位で、第3位のカナダ(約40万人)を大きく引き離している。

また、日本人観光客は、ほかの国の観光客に比べて、圧倒的に多くのお金を使う。その使い方は、ブランド品や土産物の買い物、レストランでの食事、オプショナルツアーへの参加などに偏っているが、フリーマガジンの広告主にとっては貴重な顧客だ。

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