「アベノミクス期待」の円安は1ドル95円が限界 市場動向を読む(為替)

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メディアが報じるところによると、13年度予算では製造業優遇の税制変更なども計画されていると言う。外需主導での景気回復を狙うのであれば、いずれ米国を含めた海外諸国からの本格的な反発に直面するのは必至だ。その時には一時的に経常黒字の増加で、景気が持ち直していたとしても、円高の流れに復帰。製造業は再び窮地に陥り、デフレ克服も難しくなってしまう。

内需拡大によるデフレ克服策を提示すべき

そうではなく、今、安倍政権が提示すべきなのは、内需拡大によるデフレ克服のシナリオではなかろうか。つまり、「日銀の金融緩和で、円安が進むかもしれないが、その結果、期待インフレ率が上昇し、実質金利が低下。消費、投資といった内需が刺激され、輸入が増加。デフレ克服とともに、国際収支の均衡(経常黒字の減少)を目指す」という経済戦略である。

こうした中間目標を期待インフレ率の刺激、最終目標を内需拡大と国際収支の均衡においた戦略を国内外に明確に示すことができれば、海外諸国が円安を近隣窮乏化策と不安視することもなくなろう。

場合によっては、欧米諸国からのアベノミクスに対する支持をとりつけ、自民党が選挙公約に掲げたような「平成のルーブル合意」締結さえも可能になるかもしれない。この場合、円安は息の長いものとなり、デフレ克服にも大きく貢献するはずだ(円高デフレ均衡の克服)。

だが、実際には、現段階で、安倍政権がこうしたシナリオを明示できているわけではない。2月15日には、モスクワでのG20財務大臣・中央銀行総裁会議も控えており、海外諸国からの円安警戒発言が次第に円安の勢いを削ぎ始めることを想定しておくべきだろう。こうした観点からも、アベノミクス期待のドル高円安は95円がいったんの限界と目している。 

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