「アベノミクス期待」の円安は1ドル95円が限界 市場動向を読む(為替)

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だが、逆に言うなら、95円を超えるようなドル高円安は価格正常化の範疇を超えるものとなる。偶然にも、IMF(国際通貨基金)の為替評価もほぼ同じような示唆を与える。

実は、円に限った話ではないが、昨年、IMFは為替評価モデルを変更し、為替レートが実体経済に及ぼす影響を加味する新しい評価モデルを導入した。これは為替評価の世界においては「コペルニクス的転換」である。その結果、昨年8月にIMFが発表した4条協議に基づく日本経済の年次報告書では、円の実質為替相場が10%前後の過大評価との認識が示された。

今年前半のドル円の平均が80円前後であったことに鑑みれば、90円ぐらいまでは過去に歪められた価格水準の是正(割高感の払拭)と見されるだろうが、95円を超える円安加速となってくると、IMFや海外諸国の円安に対する警戒感が高まり始める恐れがある。

ドイツや米国から円安政策を警戒する声

実際、今月半ば以降、ドイツのメルケル首相やショイブレ財務大臣が日本政府の円安誘導を警戒する発言を繰り返した。中国も抜いて、今や世界第1位の経常黒字大国になったドイツだが、その源泉はユーロ圏域内での貿易不均衡である。

その不均衡を是正するため、現在、ユーロ圏各国は総需要抑制策(財政緊縮策)を断行中であり、今後、ドイツの黒字は縮小に転じ、好調だった景気・雇用にも悪影響が出てくることが予想される。こうした中で円安などの「通貨安戦争」に直面することを避けたいとの思いがドイツには強いものと思われる。

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