「アベノミクス期待」の円安は1ドル95円が限界 市場動向を読む(為替)
アベノミクスによる円安に沈黙を守ってきた米国にも変化が出てきた。1月25日、米財務省のブレイナード国際担当次官が「ゲームのルールが今後も守られると信じる」と言明したのだ。国際金融に精通したガイトナーが去り、財政専門家のジャック・ルー氏が財務長官に就任した今、ブレイナード次官は事実上の米通貨政策トップと目される人物である。
ここで言う「ゲームのルール」が何かは不明だが、1)金融緩和に伴う通貨安は黙認、2)通貨安誘導を目的とした介入禁止、3)特定水準を示すような口先介入も控えるといったところだろう。歴史的に米国の対日貿易赤字は安定しており、米財務省が円安そのものにストレスを募らせているとは思わない。
だが、米財務省はアジアなど新興国で、円安をきっかけとする通貨戦争が再発するような事態を警戒しており、ブレイナード発言には最近、日本の政治家から円安を待望するような発言が相次いだことを牽制する狙いがあると見られる。
アベノミクスは近隣窮乏化策と見られている
もちろん、米財務省の考えは日本の財務省にも伝えられているはずだ。財務省は事態の掌握に動いていることだろう。しばらく外野(海外の円安牽制発言)はうるさくなりそうだが、今後、日本の政治家の不規則発言、特に円安誘導と受け取られかねない発言は減っていくことだろう。
このように考えると、海外諸国から円安に対する警戒感が高まるのは、アベノミクスが近隣窮乏化策と受け取られているからだということが分かる。実際、22日、テレビ朝日の報道番組に出演した安倍首相は「日銀の金融緩和で円安が進み、輸出が増加し、景気が回復する」とのシナリオを強調していた。
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