芦屋「日本一厳しい景観条例」に死角はないか 「営業の自由」が制約されることは問題ない?
兵庫県芦屋市で、屋上広告を全面禁止し、看板の色や大きさを厳しく規制する「屋外広告物条例」が施行された。広告制限で有名な京都市を上回る規制もあり、「日本一の厳しさ」などと報道され、話題になっている。
条例によると、市内の全域で建物の屋上広告を禁止する。また、市内を「商業」「住宅」など7つの地域に区分して、それぞれで看板の大きさや、色彩も制限する。違反した場合、罰金が科される。
既に設置されている看板については、経過措置として、3年から10年の猶予期間を設ける。看板を撤去したり改修したりする場合は補助金を出す方針だという。
「良好な景観を享受する利益」VS「営業の自由」
景観条例によって街の景観が保護される一方で、店舗などを運営する人は、これまで認められていた看板や広告を自由に出すことができなくなる。両者の利益の調整をどう考えればいいのか。村上英樹弁護士に聞いた。
「景観条例と憲法を考えるとき、衝突する人権と人権をどう調整するか、という視点が必要になります。次のようなことです。
まず、景観条例によって制限される人権としては、営業の自由(憲法22条)や表現の自由(憲法21条)が考えられます。一方で、市民が良好な景観を求めることも、その根底には環境権(憲法13条でいう『幸福追求権』の一種)や生存権(憲法25条)の保障という意味合いがあります。
最高裁判所も、2006年に国立マンション訴訟に関する判決の中で、地域の住民が良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されると判示しています」
今回のケースでは、両者の利益の調整をどう考えればいいのか。