芦屋「日本一厳しい景観条例」に死角はないか 「営業の自由」が制約されることは問題ない?
「実際に、今回の芦屋市の景観条例や、これまでいちばん厳しいといわれていた京都市の景観条例についても、『憲法違反である』という声が目立つという状況にはありません。
それは、景観条例による広告規制で営業の自由(憲法22条)などが制約されるにしても、市民の良好な景観を求める利益を守るための条例なので、『公共の福祉(憲法13条、22条など)による制約としてやむをえない』という見方が一般的になっているからだと考えられます。
また、憲法上の人権の中でも、営業の自由などいわゆる『経済的自由』と呼ばれる権利は、他の種類の人権(精神的自由や生存権など)と衝突する場面では、ある程度制約されてもやむを得ないという考え方があります。
このように、景観条例による広告物の制約については、国民・市民に広く支持される状態になってきているように思われます」
「良好な景観を求める利益が重視される時代に」
これまで裁判で争われたケースでは、どのようなものがあるのか。
「景観条例について、裁判で争われたものとして有名なものは、先ほど述べた国立市でのマンションの高さ制限をめぐる裁判があります。その他、景観利益に関する裁判としては、広島県福山市の鞆の浦(とものうら)の埋立架橋についての差止訴訟(地裁が差し止めを認めた件)があります。
高度成長の時代も終わり、人々の生活の質を重視する傾向が強くなり、住民の良好な景観を求める利益が重視される時代になってきていると思われます。
私自身としては、このような流れに賛成です。むき出しの経済至上主義よりは、人々が日々少しでも心豊かに暮らせることが重視されるべきだと考えています。その意味で、景観条例は重要な役割を果たすものだと思います。
一方で、広告を規制される地元の事業者とは十分に協議して、住民と事業者がともに納得する広告規制が行われるのが望ましいことはいうまでもありません」
村上弁護士はこのように述べていた。
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