日本株の上昇は1万6389円を上回れば本物だ ブリグジット波乱を吸収したシグナルとなる
現在、日経平均株価は大波乱となった6月24日の「長大陰線」のレンジ内の動きにとどまっていますが、6月24日高値(1万6389円)を上回ると、「ブリグジット」による波乱を吸収したことになり、次第に強気ムードに変化していくことになるでしょう。
ただ、6月24日高値を上回れていない現時点では、4月25日高値(1万7613円)からの下落波は、三段下げ目が続いているといった認識の方が正しい。前回お話したように、2月12日安値(1万4865円)や、1万4750円処を明確に下回る場合、昨年6月高値(2万0952円)を起点としたより大きな三段下げ目に入り、1万4000円どころや1万3500円どころを視野に入れた動きに発展する可能性が高まるというものです。
イギリスの代表的な株価指数であるFT100指数は、「ブリグジット」前の水準を早々に回復。年初来でもプラス圏に回復ということですから、混乱をほぼ吸収するかたちとなりました。一方、ドイツのDAX指数やフランスのCAC40指数はそこまで強い戻りではないですし、スペインのIBEX35指数やイタリアのFTSEMIB指数に関しては、バランスを崩した状況が続いています。
欧州の真のリスクは不良債権問題
世界的に共通していることですが、金融機関の株価の下げが市場心理に悪影響を与えています。不良債権が相対的に多いイタリアの銀行をはじめ、ドイツやフランスの大手金融機関の株価が軒並み2月の水準を下回る場面がありました。今の欧州は不良債権問題が根っこにあり、英国国民投票は気づきになっただけ、といえるほど、今年後半の最大級のリスクにのし上がってきた印象を与えてしまいました。
今回の混乱直後の動きが当面の方向性を決めるとしたら、株価が強いイギリスは離脱がポジティブに作用するという解釈ができる、ということになります。昨年は米国の次に利上げがあるといわれていた時期もあるぐらい、英国の景気は悪くはありません。欧州の中では好需給の英国株だけが、米国株の高値更新に追随できる準備ができたという見方ができます。中国を含めた資源国市場にも若干資金が戻っており、ユーロ圏の株式市場だけが見劣りする状況がしばらく続くかもしれません。
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