再び市場が揺れても日本株の下値は限定的だ 欧州の関心は英国から伊大手銀行にシフト

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日本株は7営業日ぶりに反落した。中国の上海総合指数は3000ポイントを回復

金融市場の動揺はいったん落ち着きをみせている。ただ、市場の関心は英国の政治問題から伊大手銀行の不良債権問題へ移りつつある。欧州中央銀行(ECB)によるストレステストで以前から資本不足が指摘されていた伊銀行株が足元で急落し、上場来安値を更新している。一部の報道によると欧州連合(EU)との対立を避けるために、レンツィ伊首相が銀行に対する公的資金注入の計画見直しも示唆しているという。

2008年のリーマン・ショック、2010年のギリシャ危機、2011年の欧州債務危機で世界の金融市場はあおりを受けた。ここへ来て、あらためて南欧諸国の信用不安に対する警戒感が台頭している。欧州銀行監督機構(EBA)の試算による不良債権比率(2015年末時点)をみると、ギリシャが40%台半ば、イタリアも10%台後半と高止まりを示している。

そこへ2017年には欧州金融機関は多額の社債償還を迎える。その償還総額(政府系金融機関含む)は約77兆円のうち、独銀行グループが約16兆円も占めているといわれている。英国のEU離脱という政治問題はいったん収束に向かっているものの、欧州債務問題の再燃にも注意を払う必要はあろう。ちなみに2016年の年初来騰落率(7月4日時点)では英国株(FTSE100)がプラス4%の小幅高に対し、イタリア株(FTSE MIB)は同マイナス25%の大幅安となっている。

中国株は心理的フシ目を回復

上海総合指数が心理的な節目となる3000ポイントを回復してきた。約2カ月ぶりとなる。7月5日に発表された中国6月非製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.7へ改善。景気判断の境目となる50を上回り、約11カ月ぶりの高水準となった。中国では製造業の低調さと対照的にサービス業の景況感の好転が目立っている。

2016年の年初来騰落率では上海総合指数がマイナス15%近く下落している。ただ、1月2655p、2月2687p、5月2806pと下値を切り上げている。中国当局による金融緩和や景気刺激策への期待が根強く、不動産株やインフラ株は底堅く推移している。上海総合指数の移動平均線をみると25日線、75日線、100日線が2900~2930pに収束しつつ、需給面でのしこりはほぐれつつある。長期投資家の損益分岐点といわれる200日線は3100p前後。しばらく戻りを強める展開も想定される。

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