これは、実は指示でも何でもないのです。もちろん、皆さんはこの内容でも、何をいわんとしているか、意味はわかるでしょう。ただ、指示としては相当にわかりにくいと認識しましょう。つまり、火の用心を呼びかけるなら、
「帰社前にはガスの元栓をチェックして、開いていないか確認してください。もし、開いていれば閉めてください」
と、具体的にどんな行動をするべきか説明したほうがいいのです。
「きれい」といっても、価値観は人さまざま
同じ理屈で、
「部屋をきれいにしなさい」
という指示もNG。というのは、「きれいに」の価値観は人によって違うからです。
部屋の隅に綿ボコリがたまっていても、その部下がきれいだと思えば、部屋はきれいなのです。たとえ机に本が山積みにされている状態でも、窓ガラスに濡れ雑巾でふいた跡がスジになって残っていたとしても、その部下にとっては「きれい」な状態なのです。
指示をするなら、より具体的な「状態」を説明しなければいけません。そこで、
「このフロアにゴミが1つも落ちていない状態にしなさい」
「窓ガラスを指で触ったときにホコリがつかないくらいまで、ふいておきなさい」
「机の上に物が乗っていない状態にしておきなさい」
といったような、具体的な言い方に変えるといいでしょう。
ただし、一方的に指示をすると相手は嫌がります。なぜなら、今の若手社員は理由や目的がわからないことはやりたくない、という気持ちがすごく強いからです。ですから、何か指示をする際には、「それをする理由は何か?」ということをきちんと示してあげる。ましてや、
「いいから、俺のやることを見ていろ」
なんて言い方は、もう通用しません。後輩社員が、上司の背中を見て学ぶなんてことは、もはや無理なのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら