「株価が安定している100社」ランキング マイナス金利で「リスクが低い銘柄」に魅力
英国のEU離脱を背景に、株式市場は不透明さを増している。欧州発のニュースでこの先、再び株価が急落するリスクも懸念される。ただその一方で、離脱が長い交渉を伴うことから、市場が落ち着きを取り戻し、思った以上に相場が回復する可能性も残る。そう考えると今、大きく株式を売り切ったほうがよいとも言えなさそうだ。
こうした場面で注目されるのが、相対的にリスクの小さい銘柄だ。株式投資において「リスクが小さい」とは、「株価の変動が小さい」ことを意味する。株価の変動が小さければ、相場急落に対する抵抗力も強い。
そこで、過去の株価のデータを観察して、「変動率」(英語では、「ボラティリティー」と呼ぶ)の小さい順から100銘柄を選んでランキングを作成した。上位の銘柄ほど、株価が大きく上がったりも下がったりしない、不安定な動きをしない銘柄といえる。変動率は、週次でのリターン(株価騰落率)を150週分計算し、その標準偏差を求める形で算出できる。
超低金利で、債券よりも値動きの安定した企業が魅力に
実は、この変動率への注目には、もう1つ大きな理由がある。それは、わが国が歴史的な低金利にあるということだ。1月29日に日銀がマイナス金利の導入を決定した。マイナス金利の世界では、おカネを貸しても、目減りして返ってくる。たとえば、国債を購入することは、実は政府におカネを貸していることと同じであるが、貸した分のおカネが戻ってこないのである。
こうなってくると、株式などのリスクがある資産におカネを振り向けたくなる人も増えてくる。これがプロの投資家の間で、「債券代替による株式投資」と呼ばれるものだ。とはいえ債券代わりなのだから、なるべくリスク(変動率)が小さい銘柄が選ばれる。コーポレート・ガバナンスコードの導入などもあって、企業も株主還元の意識を高めている。実際、市場関係者からは「優良企業で株価が安定し、配当利回りが高ければ、債券の替わりとして魅力的だ」との声も聞こえる。
投信やETFでも、株価の変動が小さい銘柄を選んで運用する商品を開発する動きが目立ってきた。世界的に金融、株式市場の不透明感が残るなかで、値動きの安定した株式がますます注目を集めそうだ。
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