イタリア銀行危機で「EU離脱ドミノ」始まるか 反EU派躍進、レンツィ政権は終幕に

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問題行の救済に公的資金を用いたり、EUのルールに従って個人投資家にベイルインを求めれば、国民の怒りを買い、憲法改正への反対票が増加する恐れがある。一方、EUとイタリア政府との対決姿勢が深まれば、難民危機対応やユーロ導入後の低成長への不満で高まっているイタリア国民の反EU感情をさらに刺激しかねない。

レンツィ首相は今回の国民投票に進退をかけることを明言しており、否決されれば退陣する可能性を示唆している。最近の世論調査の多くは、憲法改正への反対票が賛成票を上回っている。投票否決で首相が辞任すれば、議会を解散し、2018年5月の任期満了を待たず、来年にも前倒しで総選挙が行われる可能性がある。ただ、議会の解散権は大統領が有しており、暫定内閣を組織し、前倒し選挙を回避することもできる。

反EUの政党が過半数握れば、まさかのEU離脱も

イタリアの主要政党でEU離脱の是非を問う国民投票の実施を求める可能性があるのは、(1)反体制派の新興政治勢力で、最近のローマやトリノの市長選で勝利した「五つ星運動」と、(2)北部地域の独立や移民排斥を訴える「北部同盟」の2党が挙げられよう(両党は過去にEU離脱ではなく、ユーロ離脱の是非を問う国民投票の実施を示唆したことがある)。

両党の現有議席は上院(国民投票が否決されれば定数315)で47議席、下院(定数630)で109議席にとどまるが、最近の世論調査での政党別支持率は五つ星運動が31%と与党の「民主党」をわずかに超えてトップになったほか、北部同盟も難民危機を契機に党勢を拡大しており、15%弱の支持を獲得している。

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