イタリア銀行危機で「EU離脱ドミノ」始まるか 反EU派躍進、レンツィ政権は終幕に

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五つ星が政権を奪取する可能性が高まっているため、北部同盟と合わせて過半数の議席獲得も視野に入る状況だ。過半数を握れば国民投票を行うことが可能になり、EU離脱の是非を問うこともできる。実施が可能な国民投票は諮問的なものであって法的拘束力はないが、それでも、英国民投票が物語る通り、議会が投票結果を無視することは難しい。

欧州発の政治イベントから目が離せない

10月の憲法改正の国民投票が可決されても安心はできない。その場合、選挙の実施期限は2018年春まで先送りされるが、次の選挙では上院の立法権限が制限されるため、下院の過半数を確保した政党が政権を担うことになる。イタリアでは2015年に選挙制度改革が行なわれた結果、最多票を獲得した政党に過半数の議席が配分されるプレミアム議席制度が導入された。五つ星運動の政権奪取の可能性はむしろ高まる。

欧州では2017年にも春にはオランダ総選挙、年央にはフランス大統領選挙・議会選挙、秋にはドイツ連邦議会選挙などが予定され、EU懐疑政党や反主流派政党の躍進が予想される。各国の国民投票の実施要件とEU懐疑政党の獲得議席や支持率から判断して、すぐに投票実施に至る国やEUを離脱する国が現れるわけではなさそうだ。だが、「離脱のタブー」が破られたことで、離脱ドミノに対する市場のリスク許容度は低下している。今後は欧州発の政治イベントにこれまで以上に市場が翻弄される展開を想定しておく必要があろう。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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