手数料で86万円の差!確定拠出年金の選び方 金融機関を間違えると、大損します!

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また、適切な金融機関を選べば、後はその金融機関の運用商品ならどれを購入してもいいのかというと、必ずしもそういうわけではありません。というのは前述の高い手数料の商品と安い手数料の商品が、同じ金融機関のラインナップの中にあったりするからです。選んだ金融機関の中でも、さらに商品を吟味することが大切だと言えるでしょう。

まだ明言できる段階ではない

では最後に、具体的にどこの金融機関がいいのかということですが、これはまだ明言できる段階ではありません。個人型DCの加入者対象者が拡大して実際に加入できるようになるのは2017年1月からです。したがって、今から半年ぐらいの間に、商品の品ぞろえや手数料に関しても競争が起きることは容易に想像できます。今、焦って決める必要はないのです。各金融機関のサービス内容の改善状況を見たうえで加入しても、決して遅くはないでしょう。

NISAのときのように加入特別キャンペーンで3000円のキャッシュバックみたいなことが起きるかどうかはわかりませんが、仮にそんなことになっても、それを理由に選ばないのが賢明です。仮に3000円を現金でもらったとしても、口座管理料や信託報酬で年間5000円ぐらいの差は簡単につきます。それらは毎年のことですから、入り口で少しのキャッシュバックをもらったところで、あまり意味はありません。しっかりと金融機関選びを考えるべきでしょう。

ちなみに特定非営利活動法人「確定拠出年金教育協会」が提供している金融機関の比較サイト「個人型確定拠出年金ナビ」は、金融機関ごとの口座管理料や運用商品のラインナップと手数料がほとんどすべて掲載されている、とても便利なサイトです。掲載を拒否している一部の金融機関は載っていませんが、そういう情報開示に否定的なところは、あえて選ぶ必要はないでしょう。こうしたサイトを上手に活用しながら、金融機関選びをすることで、将来の老後資産に大きな差がつくということをしっかりと考えておいてください。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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