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親の土地の相続に税金を払う人が急増中 必ずもめる相続税の話(2)

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さらに、要件1をクリアできても、第二関門の要件2【もらった人判定】も満たさなければ割引は一切受けられません。

「配偶者」
 もらった人が亡くなった人の配偶者なら、無条件でこの特例が使えます。

 「同居親族」

亡くなった人と同居していた親族が相続し、相続税の申告期限までの10カ月間、自宅の土地を「持ち続け」そのまま「住み続ける」なら、この特例が使えます。

「実家に戻り親の介護をしている」「二世帯住宅に住んでいる」「同じ敷地の別の家に住んでいる」「子どもは単身赴任しその家族だけが親と同居している」など、同居かどうか微妙なケースについては、拙著『必ずもめる相続税の話』で詳しく書いているので、ぜひご覧下さい。

「別居親族」

配偶者や同居親族がいないとき、マイホームを持っていない別居の親族が相続するなら、この特例が使えます。相続後、わざわざその家に住み始める必要はなく、相続税の申告期限まで、自宅の土地を「持ち続け」ればよいのです。

厳密には、マイホームを「持っていたら」ダメなのではなく、亡くなる前にさかのぼり、3年以内に自分か自分の配偶者名義のマイホームに「住んでいなければ」よいことになっています。子どもがすでにマイホーム住まいなら、マイホームを他人に売るか、売りたくなければ賃貸すれば、亡くなった人の自宅の土地を8割引で相続できます。

もらった人が配偶者なら必ず8割引になるということは、問題が生じるのは、一次相続ではなく二次相続のときです。

8割引が使えなくても5割引が使える場合も

 しかし、子どもが親と同居すればよいとはいえ、仕事や家庭の事情など、一緒に住みたくても住めない事情もあるでしょう。また、子どもが複数いた場合には、親との同居は親の介護や相続時の取り分にも直結し、遺産分割の争いの種にもなりかねません。子どもが親と同居しさえすれば、問題解決!というわけではないのです。

 実は、小規模宅地等の特例には、自宅の8割引特例だけではなく、土地やその上にある建物を人に有償で貸していると、その土地が「5割引」になる特例もあります。

夫が先に亡くなれば、妻はひとりで老人ホームに入居するかもしれません。その場合、妻が亡くなるときの二次相続では、そもそも第一関門の「亡くなった人判定」を満たしません。

このように、自宅の8割引特例が使えなくなりそうなら、親の自宅を親がまだ生きている間に人に貸せば、5割引特例が使えるのです。

 5割引特例の要件を満たすのは、自宅の8割引特例より、比較的簡単です。財産をもらった子どもがすべきことは、そのまま貸し続けるだけです。もちろん、自分はマイホームに住んでいてもかまいません。貸している物件が、建物ではなく駐車場でも、物件がひとつだけでもよいのです。

ただし、相続が発生したときに、長期間借り手がいないままであった物件は、「貸していない」と考えられて、5割引が使えない可能性があります。交通の便のいい、貸しやすい場所に親が自宅を住み替えておけば、物件が古くなっても借り手がつきやすく、確実に5割引特例が使えるのでおすすめです。

仮に、自宅を売らなければならなくなったとしても、その売却代金で子どもは相続税を払えます。いざというときに、キャッシュにしやすい財産を残しておくことは、今や親のつとめです。

 新聞や雑誌にはこの特例に関する記事も増えましたが、他の相続税の記事と比べると、間違いが特に多いのが気がかりです。

詳しく知りたい方は、拙著『必ずもめる相続税の話』をご覧下さい。

※ 連載の続きはこちら:

第3回:財産が300万円でも、遺言書を書いてもらう

 

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