藤原:もう1つの問題は教員の免許の更新制。あれはものすごい手間とコストをかけて取り組んだんだけど、ほとんど効果ないでしょう。
渡邉:免許更新よりも、問題の教員は、なるべく早いうちにキャリアチェンジしてもらうような仕組みが必要だということですか?
藤原:そうです。たとえば京都はこの問題にすごく投資して、問題教師の配置転換に成功しているんですよ。
渡邉:具体的には、どういうふうにやるんですか? 教員や労組の圧力団体の抵抗をどう抑えたんですか。
藤原:京都市は、今の市長も教育長も教育畑が長いの。彼らには政治的な力があるので、現場を押さえつつ、組合ともうまくやりながら、交渉していったんだと思う。配置転換するためには、問題教員の研修も長くやらないといけないので、投資もかさむんです。
渡邉:どういう部署に移すんでしょうか。
藤原:たとえば、教育委員会の事務や役所の事務。
渡邉:なるほど。
藤原:率直に言うと、事務の中にも窓際族みたいな仕事があるでしょ。民間企業でいうと、社史編纂室みたいなもんだね。
文科省は、指導力不足教員の数は、2000人程度だと言っているけど、とんでもないですよ。最低でも、その10倍はいる。公立の小中学校の先生は60万人ぐらいいますけど、その2、3%はいるんじゃないかな。最初は意欲が高い人でも、途中でくじけてしまう人もいる。
当初、教育再生会議では、問題教師を切るのが難しいのであれば、免許を更新しなければいい、という議論になっていた。ところが、そのままストレートに行くかと思いきや、組合と取引する中で、「指導力不足の教諭を切る」という議論と、「教員免許更新」の議論が別々になっちゃったの。
渡邉:え、そうなんですか。でも、それは最初の目的からずれていますよね。
藤原:そうなの。最初は「どう問題教員を切るか」という問題意識から始まって、「じゃあ教員免許を更新制にするしかない」となったわけ。弁護士だって医者だって、免許更新はあるでしょ、みたいな感じで。ところが、その議論のつながりが切れちゃった。その結果、どこで教育免許の更新を認めるかという話になり、教師が教員免許を取った大学が資格を付与するという話になった。そもそも教員資格は、国家資格じゃないから。
渡邉:国家資格ではないんですか。
藤原:そう、大学が付与しているんです。そこがミソなんですよ。国家資格にしてはどうかという議論もあったんだけど、免許基準を統一するのは膨大な金がかかる。そこで、最終的には、「出身大学に戻って10年に一回30時間の研修を受けなさい」ということになったの。だから、免許状更新の講習は大学の先生がやっているわけ。