改正児童福祉法は施設暮らしの子を救うか 日本には産みの親と暮らせない子が4万人

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改正法が成立しても、政府の目標はとりわけ高いものではない。こうした社会的養護を必要とする子どもたちのわずか3分の1を、2029年度までに家庭養護環境に置くことだ。

それでも、この数字には疑問の声が上がっている。数万人の子どもたちの里親は、いったいどこで見つけられるのか。

「私たちは一生懸命その子に関わっていくが、やはり1対1でその子を受け止めてくれる里親がいた方がいい」と、都内にある二葉乳児院都留和光院長は話す。「自分だけを可愛がってくれる人がどうしても必要になってくる」

昨年の特別養子縁組は、わずか544人

大きな障害となっているのが、里親制度についての認識不足だ。里親家庭の登録数がわずか1万0200にとどまる一方、特別養子縁組はさらにまれで、昨年は544人しかいない。そして、均一性と血筋を重視する日本社会では、里子に出されたり、養子縁組をしたりした子どもも、しばしば色眼鏡で見られてしまう。

児童虐待の報告件数が増加していることも1つの障害となっている。児童相談所の職員は子どもを目の前の危害から救い出すことに忙しい。子どもを施設に入れるほうが里親を探すより速いのだ。

また彼らは、新たに危害を受けた子どもの対応に追われ、子どもたちの事後ケアにほとんど時間を割けずにいる。そのため、子どもたちが何年も施設に放置される事態を招いている。

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