量的緩和先進国の次の一手に世界が注目 市場動向を読む(為替)

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そして、場合によっては日本銀行も相当積極的にリスク性の資産を購入し始め、なりふり構わずバランスシートを拡大し始めるという政策を取るかもしれない。これらは、普通に考えるとインフレ率を大きく押し上げ、歴史的に言えば悪いインフレにつながる可能性も十分に考えられる政策である。米国は中央銀行のバランスシートをこれ以上拡大することに慎重になりつつも、日本が拡大していったら何が起こるのかを注視している。

なりふり構わぬ金融緩和と財政規律の放棄の帰結

米国議会予算局では「現状のヘルスケア歳出を前提とすると、30年後には、米国の政府債務残高の対GDP比率は200%を超える」と予想している。JPモルガンも、このままだと米国の財政赤字は25年頃からスパイラル的に増加する可能性があると見ている。つまり、米国には現在の日本の姿と将来の自分の姿がダブって見えているのかもしれない。

日本が中央銀行によるなりふり構わぬバランスシート拡大と、財政規律の放棄を同時に行ったときに、何が起きるのかを欧米はじっくりと観察し、将来自分たちが同じ事態に直面した時に備えようとしているのかもしれない。

佐々木 融 ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト

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ささき とおる / Tohru Sasaki

2023年12月から現職。日本銀行で調査統計局などを経て国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当し、ニューヨークで米国金融市場分析も行った。2003年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストや市場調査本部長を務め、金融市場を調査・分析してきた。著書に『弱い日本の強い円』(日経プレミアシリーズ)。

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