量的緩和先進国の次の一手に世界が注目 市場動向を読む(為替)

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しかし、こうした劇薬を投じると、長期金利の上昇が景気回復を妨げ、悪いインフレにつながるリスクもある。一方で、これをやらなければ、将来的に政治による構造改革、規制緩和、税制改正等が十分に行われず、需要増加によるデフレ脱却が実現しなかった場合に、日本銀行は再び金融政策が十分でなかったという批判に、さらされるであろう。

もう1つの選択肢は、資産買入等の基金で購入する予定の国債を増額し、さらに「無制限(ないしは無期限)に購入する」と宣言することであろう。日本銀行はこれまでも資産買入等の基金で購入する国債が予定額に達する前に、何度も上限を引き上げてきている。したがって、この宣言は実質的な変化にはならない。

ただし、日本銀行は決して「結局効果は同じです」とは言ってはいけない。今回安倍首相が証明したのは、市場の期待に働きかけるだけでも状況は好転してくる可能性があるということである。日本銀行はこの点において慎重すぎたとの批判は、受け入れなければならないかもしれない。

将来に備えるために、先頭を走る日本が参考になる

海外投資家は日本の動きを非常に興味を持って見ている。筆者はその1つの理由は、実は日本が一連の流れの中で先頭を走っているからではないかと考えている。つまり、欧米の投資家、エコノミスト、当局者は、自国の経済が将来直面しそうな状況にどのように対処したらよいかという意味で日本の動きに(反面教師としても)注目しているのではないだろうか。

米国、欧州共に過去5~6年間で発生した事象は、日本が1990年代以降に経験したことに似ている。バブルが崩壊した後に金融危機が発生し、政府債務の急拡大が起こる。しかし大きく開いてしまった需給ギャップは簡単には解消せず、政府債務は拡大を続ける。

中央銀行は政策金利をゼロまで引き下げるが、それでも事態は好転しないので、量的緩和政策を開始し、国債を中心とした資産の購入も始め、バランスシートを拡大する。一方、政府は財政規律をなるべく守ろうとし、できれば中央銀行による金融政策で問題を解決しようと試みる。もちろん、日本と欧米では相違点も多いが、おおむね似たような現象が起きている。

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