次の「市場のヤマ場」は、まもなくやって来る 7月の日本株に強気になってもいいのか
この点において、国民投票は二人の政略に利用されたことになるわけだが、結果的に二人が望まない結果になったことは皮肉であったといえる。ジョンソン氏も本気で離脱を訴えていたわけではなかったかもしれず、今回の国民投票の結果で、英国民の多くが不幸になったのではないか。
英国はこれからEU離脱の手続きを進めていくことになるが、離脱に票を投じた英国民の中にも、「残留を支持すればよかった」との声が多く聞かれる。つまり、それだけ「国民投票というのは怖いものだ」ということだ。
高まる各国の「国民投票リスク」
国民すべてが、今回のようなきわめて重要な事項について、常に十分な見識を持ったうえで、冷静かつ現実的な判断ができるわけではない。そのため、今回のような結果が起きることになるのだ。今後、他の欧州各国でも複数の国民投票が控えており、その面ではリスクが高まっている。
こうしてみると、議会制民主主義に基づき、国民の代表が十分な議論のもとに、重要な決定を行うという伝統的なプロセスのほうが理に適っているのかもしれない。もちろん、これは代表者が十分な見識と判断ができることが大前提である。今回の国民の結果は、無視することは難しいが、形としては、あくまで参考意見である。これから国民の民意を英国議会がどのように考え、最終的に国としてどう判断するかに注目したい。
思い起こせば、英国で仕事をしていたとき、香港が英国から中国に返還されるという歴史的な出来事があった。1997年のことである。当時は在ロンドンの外資系企業に勤務していたこともあり、筆者以外はすべて英国民だった。同僚たちが、業務もそっちのけで、トレーディングフロアにあるテレビの大画面に映る返還の儀式のもようを食い入るように見つめていたのが印象的だった。
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