返事はもらえなかったというが、この効果もあったのか、2度目の認可保育園のエントリーでは入園が認められた。
それだけではない。横浜市の待機児童問題はその後、急ピッチで改善が進み、林市長は13年4月に「待機児童ゼロ」を宣言。12年4月時点でも待機児童数は179人と、2年前から88%も減った。もしかしたら、沢田さんの大塩平八郎ばりの直訴の効果も、少しはあったのかもしれない。
住まいは、実家と会社から30キロ圏内に
沢田さんが、長い通勤時間をかけ、待機児童問題に直面しながらも、横浜市に住み続けるのには理由がある。横浜にある実家に住む母親に、育児をサポートしてもらうためだ。
「育児と仕事を両立するサバイバル戦略として、自宅と私たち夫婦の勤務地と実家の3カ所を、30キロ圏内に収めようと考えました。正直、母親の支えがなければ、今の私の生活は、成り立ちません」
朝、息子を保育園に送るのは夫の担当だが、夜10時11時まで働く日もザラの沢田さんは、夫ばかりにお迎えまで頼めない。そこで、頼りになるのが母親だ。
「毎週日曜日は、今週は誰が何曜日にお迎えに行くか、手帳を広げてのスケジュール会議です。3人の分担が決まると、グーグルカレンダーに入れて夫婦で共有。母は紙のカレンダーでと、全員で予定を共有しています」
現状では、週3~4回は母親に子どものお迎えを頼み、食事まで作って食べさせてもらう。その後、夫にバトンを渡してもらっているという。まさに「綱渡りの毎日」だ。
「万が一、母が出動できない時のために、同じマンション内のママ友と日頃から飲み会をやるなどして仲良くしてもらい、いざというときは、彼女らに子どもを預かってももらうようお願いもしています」
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