社員を「単身赴任」させるのは人事部の怠慢だ 八木洋介LIXIL副社長が語るワーク・ルールズ

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そんなときに、みんなに「自分にとってのグローバル化とは何だろう?」ということを考えてもらおう、と企画したのです。結果的に400人ほどの応募があり、すばらしい論文が多く集まりました。

イベントで社員を刺激する

――ほかにも、社員参加型の面白そうなイベントをされているのですか?

たとえば、会社でいま何が起こっていて、どこの方向に向かっているのかということを、3カ月に1回、すべてのマネージャーがすべての部下に対して語る「LIXILよくしる」ミーティングを部署ごとに行っています。

それと、展示会の会場を活用した「Look and Talk」というイベントも開催しました。商品の展示会は、通常朝から夕方5時くらいまでですが、何千人と集まれる会場を24時間借りているのに5時に終わっている。この空き時間を有効活用しようと。

「Look and Talk」のLookは、社員の人たちに自分たちが作った商品、デザインした商品がどんなふうにお客様に伝えられているのかを見てもらうもの。実際にお客様に商品を紹介している人たちが、社員に対して同じ説明をしていくような形にしました。現場を自身の目で見られるわけです。

その後に社長以下トップが全員集まって、どんな質問にも答えるタウンホール・ミーティングが「Talk」です。最初はみんなおっかなびっくりなんですが、パッと手を挙げて、たとえば、社長兼CEOだった藤森義明(現・相談役)にもいろいろなことを聞くわけです。

「うちの会社は商品をたくさん作っていますが、社長はどれが一番好きですか?」とか。藤森は「タイルが一番好きなんだけど、もう少し儲けてほしいんだよなぁ」「やっぱり儲けてくれないと、いくらオレが好きだと言ってもダメなんだよね」と、そこにメッセージを入れて対話をします。

私は、質問してくれた人にLIXILのタオルを「ありがとう」と言って、首にかけて握手をする。そういうことをやることで、「発言していいんだ」「意見をいっていいんだ」「自分がこの会社を良くしていくんだ」という気持ちになってほしかったのです。

それから、「家族参観日」を設けて、ご家族に社員が頑張っているところを見てもらい、○○さんはどんなに大切な仕事をしているのか、私たちがご家族にお伝えする、という行事もあります。こういうのはブランド化することが大切なので、ネーミングにはこだわっています。

こういった施策は全部、「キャリアは自分のものと思ってほしい」とか「もっと個人を刺激することで成長してほしい」という考えに基づいています。そして、「あなたたちがこの会社のことを好きなら、皆さん自身でこの会社を変えればいい」というメッセージにつながっています。

砂流 恵介 ライター

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すながれ けいすけ / Sunagare Keisuke

1983年広島県生まれ。秋葉原のPCショップ販売員を経て、日本エイサーにて宣伝・広報を担当。2014年1月に独立。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。アメリカザリガニ平井のゲーム実況番組「スーパーピコピコクラブ」のメインMC、元JUDY AND MARYのTAKUYAが中心になって結成した「商店街バンド」の広報、攻殻機動隊REALIZE PROJECT編集長のほか、各種ネットメディアでの記事を執筆している。

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