たとえば、キャリアひとつを取ってみても、本人の自由はなく、ほとんど会社が決めています。だから、日本は単身赴任が多い。「日本人は単身赴任が好きなのか?」と言ったら、そんなわけはない。会社が動けと言うから、単身赴任になっている。
これでは、やる気は出ません。キャリアのオーナーは自分自身であるべきで、人事は「社員のやる気」を引き出さなければなりません。
この本には、「やる気を引き出すノウハウ」がいっぱい詰まっています。250人の人事がこれを読むことで、「言われたことをやる人事ではなく、考えて、提案をして、前に向かっていく人事」になってほしかったのです。
――それが皆さんに配布されたきっかけなのですね。
そうです。ただ、読んでもらうだけではなく、実践に活かしてほしい。そういった背景から『ワーク・ルールズ!』を読んで学んだことを会社に結びつけて、アイデアを提案してもらうことを発案したのです。
これは変な言い方ですが、この本を会社で読む人はいなかったのです。アイデアの提案書を書くのは業務の一環だから、業務時間中にやって構わないのですが、みんな家に帰ってとか通勤を利用して本を読んだ。勉強しようという意欲が、この本によって起こったようにも感じました。
しかも、読み物としても面白いので、読書の面白さを感じたり、読んだことを自分の会社に結びつけて提案することが楽しい、と多くの人たちが感じてくれたのでないかと思います。
社内コンテストで考えるきっかけを作る
――アイデアコンテストでは、具体的にどのようなアイデアを募集したのでしょうか?
この本をもとにしながら、人事として「やったほうが良いこと(10個以上)」と「やめるべきこと(5個以上)」を考えて提案してもらいました。
集計すると、合計で4000近くにもなりました。たとえば、社員の良いことを内部報告して、称賛や感謝を伝える制度や、失敗を恐れずに失敗から学ぶための「失敗アワード」などのアイデアが出ました。
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