社員を「単身赴任」させるのは人事部の怠慢だ 八木洋介LIXIL副社長が語るワーク・ルールズ

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八木 洋介(やぎ ようすけ)/1955年京都府生まれ。80年京都大学経済学部卒業、日本鋼管(NKK、現JFEスチール)入社。主に人事分野で経験を積み、92年マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院で修士号を取得。99年ゼネラル・エレクトリック(GE)に入社。GEメディカル・システムズ・アジア、GEマネー・アジアでHRリーダー、日本GEで取締役シニアHRマネジャーとして日本のGEビジネス全体の人事を担当。2012年より現職(人事総務担当)。著書に『戦略人事のビジョン』(共著、光文社新書)。『一橋ビジネスレビュー』2016年夏号のインタビューでも登場。同誌のイベントも開催予定(撮影:今井 康一)

たとえば、キャリアひとつを取ってみても、本人の自由はなく、ほとんど会社が決めています。だから、日本は単身赴任が多い。「日本人は単身赴任が好きなのか?」と言ったら、そんなわけはない。会社が動けと言うから、単身赴任になっている。

これでは、やる気は出ません。キャリアのオーナーは自分自身であるべきで、人事は「社員のやる気」を引き出さなければなりません。

この本には、「やる気を引き出すノウハウ」がいっぱい詰まっています。250人の人事がこれを読むことで、「言われたことをやる人事ではなく、考えて、提案をして、前に向かっていく人事」になってほしかったのです。

――それが皆さんに配布されたきっかけなのですね。

そうです。ただ、読んでもらうだけではなく、実践に活かしてほしい。そういった背景から『ワーク・ルールズ!』を読んで学んだことを会社に結びつけて、アイデアを提案してもらうことを発案したのです。

これは変な言い方ですが、この本を会社で読む人はいなかったのです。アイデアの提案書を書くのは業務の一環だから、業務時間中にやって構わないのですが、みんな家に帰ってとか通勤を利用して本を読んだ。勉強しようという意欲が、この本によって起こったようにも感じました。

しかも、読み物としても面白いので、読書の面白さを感じたり、読んだことを自分の会社に結びつけて提案することが楽しい、と多くの人たちが感じてくれたのでないかと思います。

社内コンテストで考えるきっかけを作る

――アイデアコンテストでは、具体的にどのようなアイデアを募集したのでしょうか?

この本をもとにしながら、人事として「やったほうが良いこと(10個以上)」と「やめるべきこと(5個以上)」を考えて提案してもらいました。

集計すると、合計で4000近くにもなりました。たとえば、社員の良いことを内部報告して、称賛や感謝を伝える制度や、失敗を恐れずに失敗から学ぶための「失敗アワード」などのアイデアが出ました。

次ページ半分遊び心を持ちながら勉強してほしい
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