「イスラム教徒で一杯のトルコがEUに加盟する」というUKIPや離脱派の脅しも、今すぐトルコが加盟するかのような印象を与えたが、「加盟は非常に遠い将来」(政府)が実情のようだ。
離脱派の一部からさえ批判を浴びたのが、ファラージ氏側が作ったあるポスターだ。
このポスターには、シリア難民が大挙して欧州に向かう写真を大きく使い、「崩壊」という文章が入っている。戦火のシリアから逃げてくる人々で欧州はいっぱいになるぞというメッセージだ。「悪趣味」、「残酷」として批判された。ポスター発表と同じ日に、残留派議員だったジョー・コックス氏が「英国第一」と叫ぶ男性に殺害されている。
事件の詳細についての捜査は続いているが、「自分の意見以外は認めない」という狭義の見方、憎悪から殺害行為までのエスカレートなどを触発したのはUKIPではないかという批判が残留派から出た。
「反EUの波をほかの欧州の国も広げたい」
ファラージ党首自身が移民の子孫で、妻はドイツ人。「決して反ヨーロッパではない」と言う同氏だが、以前には「ルーマニア人が大挙して押し寄せるぞ」とけしかけたこともある。
UKIPの支持者には白人の中高齢者が多い。「既存の政治家がその意をくんでくれない、普通の市民」が支持者であるとUKIPは説明するものの、「他者を寄せ付けない、反移民主義者」との境目は微妙だ。
英国がEU離脱を決定したことで、UKIPはどの方向に行くのだろうか。ファラージ党首は先の勝利宣言の演説で、「反EUの波をほかの欧州の国にも広げたい」としている。「フランス、イタリア・・・国民投票をしたいという国はほかにもある」。
EU離脱決定後、キャメロン首相は遅くとも10月の保守党大会までに次の首相を決めるようにしたい、と表明した。ファラージ党首はテレグラフ紙のインタビュー(26日付)の中で、「離脱交渉をする新たな首相の下での保守党政権に何らかの形で協力したい」と述べている。英国の政治中枢において、UKIPがこれまで以上に重要な役割を果たすようになることは間違いない。
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