英国のEU離脱は、極めて合理的な判断だった

英トップエコノミストが予言していた「崩壊」

したがって、英国がEUから離脱すれば、ドイツの自動車メーカーのBMWやメルセデスをはじめ、無数の欧州大陸の企業が、英国との自由でオープンな貿易関係を維持しようと必死になるだろう。そのために彼らは自国政府やEUに働きかけるはずだ。実際、英国のEUとの貿易関係は非常に緊密で広範なので、交渉の過程で英国が特別に有利な条件を引きだすこともできるかもしれない。

考えうる協定の枠組みは、わずかな差異しかないものも含め、数えきれないほどある。

単一市場の一員であることは、それほど重要なのか?

EU支持派が英国のEU離脱の可能性について語るとき、彼らはしばしば、英国が単一市場に「背を向ける」とか、はなはだしきは「閉めだされる」といった言い方をする。これは相当終末的に聞こえる─―そしてそれを意図した―─言葉だ。EU向けの輸出が大きなシェア(おそらく40〜45%)を占める中で、ある種の経済的惨事を予感させるものがある。

頭に浮かぶのは、一定の閉鎖空間に単一市場が設置されていて、その中でだけビジネスが行われているという構図だ。有価証券が集中的に取引される証券取引所のような空間を考えてもいいかもしれないし、古い市場町にあった穀物取引所のような建物を思い浮かべてもいいかもしれない。そこへの入り口はドアで守られている。EUから去ることはそのドアを背後で閉める――あるいは乱暴に叩きつける――ようなもので、そんなことをすれば市場へのアクセスは失われてしまう……。

そこまで極端なことにはならないと見る向きもあるが、彼らもまた、英国が離脱すれば単一市場への「完全な」アクセスが失われるという言い方をする。メンバーでない者はその空間の全域ではなく、一部区域に限って入場を許されるというイメージだろうか。あるいは全域には入れるが、月曜日と火曜日だけとか、毎日11時から15時までといった具合に、時間を制限されるイメージかもしれない。

こうしたイメージはまったくの誤解である。世界中のすべての国がこの空間に入れるのだ。ただしメンバーでない国は入り口である種の入場料(共通域外関税)を払わなければならず、またその空間内で商品を売りに出すには「取引所」のルールに定められたすべての条件と規格を守らなければならない。

だが、それだけだ。鍵のかかったドアはないし、アクセスの時間制限もない。単一市場のルールや規格に従うという点に関して言えば、それは輸出者が世界のどの市場でもしなければならないことだ。英国が米国に輸出するなら、米国のルールに従わなければならないし、米国の規格に合わせなければならない。中国やオーストラリアに輸出する場合でも同じこと。違うのは、英国がすべての経済分野について米国や中国、オーストラリアのルールと規格に従う必要はないということである。

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