水産物の「地産地消制度」、消費者の利点は? 米国で広がる加工・卸業者通さない流通手法
ただ、消費者はCSF加入をまだ敬遠する可能性がある。エキゾチックな甲殻類やコイを調理することに怖気づき、輸入されたエビや養殖されたサケの切り身を、馴染みの食料品店で買うことを選ぶ者もいるかもしれない。
店で買える水産物は、より親しみがあり扱いやすいかもしれないが、新鮮ではないだろう。地元産であることは珍しいからだ。米海洋大気庁の調査によると、米国で消費される水産物の90%は輸入物だ。地元産よりも多くの二酸化炭素を排出して捕獲されると同時に、持続的ではない海外の漁業によって出荷されてくる傾向がある。
こうした依存に対抗するためには、消費者への教育が必要だ。
「他の魚に関する知識はこれまで、十分に周知されていなかった。だからこうしてわれわれは毎日、レシピを提案している。そうすればみんな、スケトウダラやシタガレイ、サケ、アンコウなどの調理法が分かるようになる」と、4500人の会員を持つCSF、ケープ・アン・フレッシュ・キャッチ(マサチューセッツ州グロスター)のドナ・マーシャル理事は語る。
「地元の新鮮な魚を食べたい」のは当たり前だ
魚の目を見るのをビクビクする会員がいることに配慮して、ケープ・アンでは、魚を1匹丸ごと受け取るのか、あるいは切り身を受け取るのか選べるようにしている。勇気ある会員には、魚をおろす実演をしてみせる。
CSF加入の有無にかかわらず、一般の人は水産物がどこから来たのか知らされるべきだし、知るべきだ、とマーシャルさんは語る。「どんなレストランに行っても、出される魚の産地を聞いてほしい。もし地元産でなければ、なぜなのか?われわれは、新鮮な地元の魚を食べたいと要求し始めなければならない」と、彼女は言った。
地元産の水産物を求めることは、地域の漁業コミュニティを助け、漁港の労働を活性化し、その地域の経済を強化する。また、多様性を受け入れ、乱獲の可能性を減らし、非常に新鮮な食べ物が届けられることになる。最終的には、漁師と消費者、そして海に勝利をもたらすことができるのだ。
自分の住む町の近くにCSFがあるかどうか興味を持った人のために、漁師や消費者、研究者などの連絡組織LocalCatch.orgは、「漁船からフォークへのシーフード」と銘打ったオンライン対話型地図を作成した。CSFや魚市場の仕組みのほか、漁港の近くや直営形式で水産物を販売する小規模漁業者の情報を提供している。
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