新生東芝、しがらみない傍流社長の腹づもり 頼みの原発では外国人トップ起用で局面打開
最近の不祥事に隠れているが、実はロデリック氏がWHの社長に就任してから、原発事業は着実に新規受注の芽が出始めていた。2014年8月には、ロシアとの関係が強かったブルガリアで、初めて新規建設の交渉を開始。2014年にはオバマ米大統領とともにインドを訪れ、モディ印首相と直接協議、原発のトップセールスを行った。その成果もあって、今年6月にはオバマ―モディのトップ会談で、WH製の原発6基をインドで建設することで合意している。こういった手腕が買われ、今回東芝に招聘されたのだ。
東芝は、原子力分野で幅広い人脈を持つロデリック氏の手を借り、東芝・WHグループとして、原発の受注活動を強化する狙いがあるのだろう。WHの資料を見ると、WHの新社長は、”acting”(暫定)となっており、現在は暫定社長を置いている状態だ。
今後は東芝、WHの2陣営が別々に動くよりも、一本化して、効率化することを目指していくと思われる。長く原発に携わってきたロデリック社長がエネルギー社のトップに就任する意味は大きい。
自助努力で自己資本比率10%に
もう1つの財務については、綱川社長は具体的な目標を掲げてみせた。
「2019年3月期までに自己資本比率を“自助努力”で10%にする」(綱川社長)。2016年3月期末の自己資本比率は、6.1%と1桁台で、とても盤石とは言えない。そのため、今秋に目指している、特設注意市場銘柄の指定解除後に、増資を行うとみられていた。
為替など経済環境が不透明な中、自己資本比率を10%まで上げるのは厳しいのではないか、との問いに対しては、一つ一つ数字を挙げて説明。「前期末は総資産が約5.4兆円で、株主資本が約3200億円。今期は家電事業の売却益が入るので、自己資本を4000億円台に乗せる。さらに、在庫を減らすなど効率化し、分母の総資産を下げる。3年間で5000億円の自己資本を増やせば、それほど無理な数字ではない」(綱川社長)。
「自主自立経営」という言葉を何度も強調した綱川社長。各々のカンパニーの経営に対し、かつての”チャレンジ”のような過度な干渉をせず、一定の距離を置く姿勢のようだ。メディカル畑ながら、自身の出身企業は売却され、すでにない。その意味ではしがらみがなく、指導力を発揮しやすいのかもしれない。これから東芝をどのように再生させるか、すべては綱川社長の腹の内にある。
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